2019.12.26

届かなかった4強…樋口鈴乃と三浦舞華擁する精華女子、桜花学園に敗れるも「敗者ではない」

1年次からチームの中心だった三浦と樋口(左から)。精華女子はベスト8で敗退となった[写真]=大澤智子
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 昨年のウインターカップで八雲学園高校(東京都)に敗れた翌日、福岡県代表の精華女子高校は東京都内で体育館を借りて、すぐに新チームでの練習をスタートさせた。

「全国ベスト4」

 そう目標を掲げ、キャプテンの樋口鈴乃とエースの三浦舞華(ともに3年)を軸に置いて日々の練習に励んだ。

 最初のチャレンジとなった今夏のインターハイでは、準々決勝で大阪薫英女学院高校(大阪府)の前に敗戦。そして、2度目にして最後の挑戦となった「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」では、夏と同様、ベスト8までは危なげなく勝ち進んだ。

 目標達成へ——。今回の壁はインターハイで優勝した桜花学園高校(愛知県)。チームはエース・三浦舞華(3年)を中心に得点を重ね、前半が終わった時点では10点ビハインドと相手についていった。

三浦は計24得点をマーク[写真]=大澤智子

 平均身長168.4センチの精華女子に対し、桜花学園は173.4センチと高さで勝る。当然インサイドやリバウンドで主導権を握られることはわかっていたが、後半からは「一つひとつのプレーの精度」(大上晴司コーチ)でも差を見せつけられ、15点、20点と差が開いていった。

 最終スコア70-94。試合終盤、精華女子は先発の2年生2人をベンチへ下げ、3年生5人がコートへ。これまであまり出場機会に恵まれなかった屋宜沙弥香(3年)もシュートを決めた。

「試合では負けたけど敗者ではない。ここまで挑戦するとを決めてがんばってきた結果、負けたわけじゃないから」

 大上晴司コーチは、最後まで笑顔を絶やさず戦った選手たちを讃えた。

精華女子は終始笑顔でのプレーを心がけた[写真]=大澤智子

「樋口を筆頭に、『笑顔でやろう』という声をかけていましたし、ベンチも3年生中心に『まだまだ』といい顔をして声を出してくれていました。最後は縁の下で支えてくれた3年生がシュートを決めてくれたことが、応援席にいる3年生にとっても良かったと思います」

 この1年、キャプテンとしてチームを引っ張り続けた樋口も言う。「点差が開いて暗くなる場面もあったけど、ベンチメンバーや応援席からも『いい顔でやろう』と声が聞こえてきました。コートの中でも『いい顔でやろう、笑顔でやろう』と言い続けることができたので、“精華らしさ”はたくさん出せたと思います」

1、2年生の頃はあまり自分の感情を出せなかったという樋口[写真]=大澤智子

 1年生の時から中心選手として活躍してきた樋口、三浦が抜ける精華女子。指揮官は「2人のスーパースターはいないですけど、同じスタイルを違うやり方でまた作っていけたらなと思っています」と今後を見据える。“2人のスーパースター”については3年間の成長をこう振り返った。

「樋口は入学当初、人と話すのが苦手で、話しかけられても照れ笑いしかできない子でした。今はこれだけみんなに指示をして、そしていい笑顔で言葉をかけて、僕が思ってる以上にリーダーシップを取れるようになりました。三浦については絶対的エースとしての自覚が確実に出てきましたね。伸び代もまだまだ残っていますので、彼女たちにはここで引き出せなかった能力を次のステージで引き出してもらいたいです」

 3年間、チームの顔として精華女子を支え続けた樋口と三浦。そして、ともに戦った3年生たちの次なるステージでの活躍に期待したい。

文=小沼克年

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