2019.12.25

闘志を内に秘める津幡のエース・中道玲夏が決めた!逆転勝ちでベスト8

決勝点となった津幡・中道のフリースロー[写真]=伊藤 大允
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 残り3.4秒、津幡高校(石川県)の中道玲夏が逆転を懸けて放ったボールはきれいにネットへと吸い込まれた。

「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の女子3回戦。津幡と大阪桐蔭高校(大阪府)の試合は、第1クォーターこそ津幡がリードしたものの、第2クォーターで大阪桐蔭が逆転に成功。第3クォーター終了時には57―45と大阪桐蔭が12点のリードを奪った。

 しかし、大阪桐蔭は第3クォーター終盤にエドポロ・アニイタがケガによる退場。第4クォーターでは決め手を欠き得点が伸びない。逆に津幡は怒涛の反撃で終盤に大阪桐蔭を猛追。残り16秒には3ポイントシュートで1点差に迫ると、その後相手にフリースローを1本沈められるものの、残り5秒で高本愛莉沙がドライブからのシュートでファウルを受け、フリースローを得る。しかし、2本決めれば同点の場面だったが、2本目がリングをはじく。だが、このボールに飛び付いたのは中道で、一度触れたボールに再び飛び付くとそのままシュート。このプレーでファウルを得ると、フリースローをしっかりと2本とも沈めて逆転。これが決勝点となり津幡が劇的勝利を収めた。

 昨年大会で4位。ベスト5に選ばれた中道をはじめ、小山里華ら昨年からの主力を擁した今年、津幡は新チーム発足時から全国での好成績が期待された。しかし、インターハイの石川県予選で敗れて夏の全国出場はならず。一時チームは「どん底まで落ちた」(東山耕平コーチ)。

 それでも、原点に立ち返りって強化を図ると、見事ウインターカップ出場を果たし、再び冬の舞台へと戻って来たのだ。

「インターハイ予選では自分たちのディフェンスやリバウンドとルーズボールを取れなくて負けました。(インターハイ予選以降)そこを取り組んできたので、最後に自分がリバウンドを取れて良かったです」

 試合後、殊勲となった津幡のエースは、控えめにコメントした。

 さらに最後のシーンを問うと「(高本のフリースローが)落ちたらリバウンドを取るしかないと思って無我夢中で取りに行きました。時間がないことは分かっていたので、ゆっくりシュートするとブロックされてしまう。相手はチームファウルが溜まっていたので、ファウルをもらうためにも自分の身長を生かしてすぐにシュートを打ちました。(フリースローも)集中して打てました」と緊迫した場面でも冷静にプレーできていたことをうかがわせた。

大阪桐蔭戦で20得点を挙げた中道(右から2番目)[写真]=伊藤 大允

「自分のせいで負けた」というインターハイ予選から約半年。エースとしての看板を背負い、プレッシャーを受けながらも「自分が(チーム)勝たせたい」と、中道は着実に歩を進めてきた。

「津幡のバスケットはディフェンスをして走って攻める。自分たちのバスケットをして頑張りたいです」と、津幡が誇る大黒柱は昨年の4位を超えるため、明日以降の戦いに向け静かに燃えている。

文=田島早苗

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