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12月23日から29日の期間、都内で開催される「SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」。今年度はインターハイ、国体も中止となったため、ウインターカップが最初で最後の全国大会となる。バスケットボールキングでは冬の日本一を決定する大会での注目チームをピックアップし、紹介する。
2年ぶり3回目の優勝を目指す岐阜女子高校。新型コロナウイルスの影響でインターハイが中止となってからはここまで、12月のウインターカップを見据えてチーム作りを行ってきた。
他チーム同様に自粛期間中は帰省し、選手たちは個々でトレーニングなどに励んだ。だが、この期間を「こちらが思っている以上に選手たちは意識を持って取り組んでいて、しっかりと体を作っていました」と指揮を執る安江満夫コーチは言う。また、その期間に栄養指導を行ったこともプラスに作用したと加えた。
とはいえ、チーム練習が再開されてからは、さぞかし急ピッチでのチーム作りとなったのではないだろうか。しかし、この問いに安江コーチは「基礎基本をしっかりやりました。焦らず、うちなりのペースで」と笑う。
もちろん、あらゆる大会が中止となった今年はそれまでとは違う。「例年であれば(大会で)他チームと戦うことが選手にとっても一つのモチベーションになるのですが、今年はそういったことができなかったので、モチベーションを維持するためにもチーム内の活性化を意識しました」と、安江コーチ。今年はいつも以上にチームメート同士が競争することで強化を図ってきたという。
さらに、他チームの様子が分からない今回のウインターカップは「ぶっつけ本番の要素があると思います。日頃の準備や練習の積み重ねが、一試合一試合に繋がっていくのではないかと感じています」と安江コーチは予想する。
チームは、昨年から試合経験のあるキャプテンの佐藤果歩(3年)とイベ・エスター・チカンソ(3年)が軸。「昨年の藤田和(三菱電機コアラーズ)や林真帆(東京医療保健大学)らは色々な戦いを踏まえて柱へと成長してくれました。今年はそういった経験がどうしても少なくはなってしまいます」と安江コーチは言うものの、だからこそ昨冬の悔しい思いをした2人には期待を寄せているとも語る。さらに松本新湖(3年)をはじめ、レベルアップした選手が多いのは好材料だ。
「このような時期にコートに立てる。自分の好きなことができる大切さやいろんな人のサポートによって成り立っているということなど、原点を見直すいい機会だったと思います」とコロナ禍での日々を振り返った安江コーチ。ウインターカップ開催については「大袈裟かもしれないですが、(日本バスケットボール協会の)三屋裕子会長が開催を宣言した時には勇気をもらいました。それにチーム関係者や保護者が会場に入れるというのもうれしかったですね。選手たちは寮生活なので、保護者の方たちに、自分たちの子供の成長を映像を通してではなく、同じ空間で見てもらえますから」と喜びを口にした。
「戦い方は大きく変わらない」(安江コーチ)という岐阜女子。オフェンスでは1対1で決め切る力、そして伝統のディフェンスにも磨きをかけてきた。見据える先は日本一。それと同時にスタッフも選手も、バスケットができることへの“感謝の気持ち”をコート上で表現する。
写真・文=田島早苗