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「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の女子準々決勝、第1試合は京都精華学園高校(京都)と奈良文化高校(奈良県)との近畿対決となった。
188センチのイソジェ ウチェ(3年)を擁し、「すべてのポジションでミスマッチ」(奈良文化・川崎弘策コーチ)という京都精華学園に対し、高さで劣る奈良文化はディフェンスで策を講じて対抗。だが、そのディフェンスには一定の手応えを感じながらも、「相手は高さもあり、判断も早いので、効いたところもあれば、効かなかったところもありました」と、第1クォーターからビハインドを負う展開となる。加えて、ディフェンスが機能している時間帯も自らの得点が思うように伸びず。前半を終えて20−34と14点を追いかけることとなった。
それでも、第3クォーター序盤には大道優月(3年)のドライブからのシュートなどで点差を詰めて、気を吐いた奈良文化。しかし中盤以降は、京都精華学園の怒とうの攻撃に遭い、一気にリードを広げられてしまう。奈良文化は、最後までリングに向かう姿勢を貫いたものの、試合巧者の京都精華学園の前に一矢報いることはできず、最後は43−80で敗退した。
近畿対決を制することはできなかったが、奈良文化は今大会でチーム史上初となる全国ベスト8入りを達成。新たな歴史を作った。
だが川崎コーチは、そんなチームを「得点力がない」と評する。また、今大会は勝った試合でも「ターンオーバーの数が相手よりも多いんです。それでよくここまで来たよねということは、スタッフとも話をしていました」ともコメントした。
では、そのようなチームがなぜベスト8まで駆け上がることができたのか。その理由を「失点を抑えることができたことが大きかったです」と指揮官は言う。
特に「変則ディフェンス」(川﨑コーチ)というゾーンディフェンスは、北信越チャンピオンの鵬学園(石川県)と対戦した2回戦や四国を制した聖カタリナ学園(愛媛県)との3回戦でも勝利を呼び込むポイントに。相手のオフェンスを狂わせ、確実に失点を減らすことで勝機を見出していた。
6月の近畿大会でもゾーンディフェンスは用いていたが、インターハイではその時よりもまた違った、精度も上がった動きを披露。「ゾーンディフェンスに対して相手が“ハマる”ようになったなとは感じました」(大道)と、選手たちもディフェンスでの手応えは感じている。
「エースもいないし、身体能力の高い選手がいるわけでもない」(川﨑コーチ)チームは、ゾーンディフェンスという宝刀を携え、全国でも存分に戦った。
今後に向けてオフェンスでの細かい強化を図っていけば、「もっと強くなっていくのではないか」と川﨑コーチは先をにらむ。
『全員バスケット』で夏に結果を残した奈良文化。今夏の4試合の“経験”は、今後のチーム作りに向けた最高の“土産”になったに違いない。
取材・文・写真=田島早苗