2022.11.05

八女学院が初のウインターカップへ…「3枠目でも福岡の代表、ここからが本当の戦い」

チーム一丸でウインターカップの出場権をつかんだ八女学院(写真は中川) [写真]=佐々木啓次
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 11月3日にアクシオン福岡で開催された「ウインターカップ2022 高校バスケットボール福岡県大会」の決勝リーグ最終戦。男女計4試合が行われたなかで、唯一この日の試合に勝つか、負けるかでウインターカップ出場の可否が決まる一戦だったのが男子の八女学院高校vs折尾愛真高校だ。

 大一番を制したのは八女学院。最終スコア114−74で折尾愛真を圧倒し、同校初となるウインターカップ出場を決めた。

 県内では福岡第一高校と福岡大学附属大濠高校の2強が高い壁として立ちはだかる。そのため他校が全国大会への扉を開くのは、正直、至難の業だ。しかし今年、福岡第一が九州大会とインターハイで優勝したことで、福岡県男子のウインターカップ出場枠は「3」に増えた。巡ってきたチャンスを見事に掴んだ松本龍次コーチは言う。

「もともと、3年生たちは夏で引退せずにウインターカップに向けて頑張ると言ってくれていましたが、(福岡)第一さんがインターハイで優勝してくれたことでより一層盛り上がりました」

 点差が開いたこともあり、試合終了の瞬間はあまり喜びを表に出さなかった八女学院の選手たち。しかし、キャプテンの中川航(3年)は、「結果は3位でしたけど、初の全国大会なので素直に嬉しいです」と顔をほころばせた。

 指揮を執る松本コーチは、八女学院に赴任してまだ2年目だという。全国への切符を掴むまでは「長いようで短かった」と振り返ったが、「最初は私も子どもたちとコミュニケーションをうまく取れない時期がありました」と苦悩を明かす。中川も「2年前にコーチが変わるって聞いた時は、 正直チームがバラバラになってしまった」などと口にし、ここまでの道のりは決して平坦ではなかったようだ。

 それでも、「最後にはこうして一致団結することができました」(松本コーチ)、「仲間といろんなことを乗り越えてきた」(中川)と言うように、八女学院は一丸となって3枚目の切符を掴み取った。

「3枠目でも、大濠さんと第一さんと同じように福岡の代表という気持ちで頑張らなければいけないです。全国に行くのが目標ではなく、全国に出てからが本当の戦いだと子供たちにも伝えましたし、『八女学、ここにあり』というところを見せなきゃあかん」と松本コーチは意気込む。

 12月、八女学院は初めて全国の舞台に立つが、福岡第一と福大大濠とは練習試合を実施する間柄でもある。今回の決勝リーグを通しても、改めて全国レベル、いや、全国トップレベルを肌で感じられたことはウインターカップでも大きなメリットとなるだろう。

 これがゴールではない。八女学院の新たな歴史は、これから始まるのだ。

取材・文=小沼克年
写真=佐々木啓次

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