2023.06.24

世界大会に臨むU19日本代表の渡邉伶音(福大大濠)…「高校生でもやれるぞということを」

チーム最年少でのU19日本代表選出となった福岡大学附属大濠高校の渡邉 [写真]=伊藤大允
フリーライター

「年齢は一番下ですが、すごくいい機会になるので、自分で意志を持って、1試合1試合、頑張りたいと思います」

 6月24日から7月2日の期間でハンガリー・デブレツェンにて行われる「FIBA U19バスケットボールワールドカップ2023」。その世界大会に向けて意気込みを語ったのはU19日本代表で最年少となる渡邉伶音福岡大学附属大濠高校2年)だ。

 渡邉は、204センチという高さを持つが、インサイドだけでなく、アウトサイドのプレーもこなす大型のマルチプレーヤー。2年生となった今年は、福大大濠でもエースとしての働きが期待されている。

 オールラウンドにこなす渡邉だが、大会に向けては「自チーム(福大大濠)では、インサイドも外のプレーもしていますが、このチームだと、(川島)悠翔さんや(ジェイコブス)晶さんも中も外もできるし、外のスペシャリストもたくさんいます。だから、自分自身はインサイドでずっとやり続けることが大事かなと思っています。リバウンドを取り続けて、中の合わせなど、そういったところを地道に、徹していきたいです」という。

 オールラウンダーやシュートに秀でている選手など、個の能力が高い選手がそろうからこそ、チーム最高身長の渡邉は、インサイドでのプレーを頑張ることがチームの勝利へつながると考えているのだ。

 6月、所属する福大大濠はインターハイ県予選決勝で福岡第一高校に敗れて、夏の全国出場できず。渡邉自身もその県予選では足のケガにより出場を見合わせていた。プレーができない状態ではなかったものの、「長い目で見たらチームにとっても、彼にとっても、ここで頑張らせるリスクの方が大きい」と、片峯聡太コーチが判断してのことだった。

「自分としては、どっちも出るというのが一番(理想)の答えではあったのですが、片峯先生が自分のことを考えてくださって試合には出ないことになりました」と、当時の思いを語ってくれた渡邉。ただ、そこからは「もちろん自分のトレーニングもそうですが、練習中にも、『もし福岡第一だったらどうしてくるかな』と考え、それをアシスタントコーチの山本草大先生や同じサイズの選手に言うようにしていました」と、自分にできることを探しながら行動していたという。だからこそ、「インターハイ予選を出なかったので、大濠のためにも、自分の将来のためにも、しっかり責任感を持って臨みたいです」と、U19ワールドカップに向けては並々ならぬ思いがある。

 ケガをした足の状態は段々と良くなっているとのことで、「世界で戦うということは、ワールドカップでしかできない経験で、(他国のチームは)大きいし、能力もあります。昨年、(U17の)ワールドカップに出ましたが、そこでしか味わえない感覚、言葉でうまく表せないのですが、日本帰ってくると、一回りも二回りもできることが増えたような感じがするんです。(今回は)その感じを明確にできるようにしていきたいです」と、目を輝かせる。

 今回のチームで現役高校生は、羽黒高校3年生の小川瑛次郎と2人だけ。それでも、渡邉は頼もしい言葉で意気込みを語った。

「大学生が主体となると思いますが、高校生でもやれるぞというのは、大会を通して日本の高校バスケット界に発信したいなと思います」

「やるべきこと、自分の仕事を一つ一つ徹底していきたい」と、渡邉 [写真]=伊藤大允


取材・文=田島早苗
写真=伊藤大允

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