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『B MY HERO!』
右膝には、しっかりとサポーターが巻かれている。
「去年の東海大会の前だったので、5月くらいです。練習中にケガしてしまいました」。昨年、藤枝明誠高校(静岡県)の野田凌吾(3年)は前十字靭帯断裂の大ケガを負った。
168センチのポイントガード。バスケットにおいて不利な身長ではあるが、1年生の頃から藤枝明誠のユニフォームを勝ち取ってベンチ入りしてきた。同校の金本鷹コーチは、そんな彼の強みを次のように語る。
「パスでゲームメイクができる選手ですね。現代のバスケットはどちらかというとドリブルがメインになってる中で、彼はうまくパスをさばいてゲームコントロールできます。そういった意味で信頼も厚いですし、ケガでブランクがあった分、まだプリンス(ボヌ ロードプリンス チノンソ/3年)との連携が強固なものにはなっていませんが、いい感覚を持っています。チームとしてもこれからそこを伸ばせていけたらなと思っています」
コート全体を見渡す視野の広さ、ボール運び、パスワークでチームに安定感をもたらす野田は、中学時代はシーホース三河U15のメンバーとしても活動。地元を離れ藤枝明誠の門を叩いたのは、金本コーチの指導方針がより自分を成長させると感じたからだ。
「金本先生は『選手に考えさせる』ということを大事に指導してくれます。そこの部分はポイントガードとしても必要だと感じましたし、ここで日本一を目指したいと思いました」
プレーヤーとして2年ぶりのインターハイ。「特に意識することはなく、いつもどおりやろうと心掛けた」。試合後の野田は、復帰できた喜びと仲間への感謝を口にした。
「1年前にケガをして、復帰してからもどうなるか不安はありました。トレーナーさんたちの支えもあってリハビリを乗り越えられましたし、ディフェンス力もレベルアップして復帰できたのことはうれしいです」
今大会の藤枝明誠は非常に若いチームだ。3年生のエントリーメンバーは野田とロードプリンス、白崎上総の3選手のみ。初めてのインターハイを経験した1年生も4名いる。ゴール下に君臨するロードプリンスもケガで万全ではないため、日本一へは試合を重ねるごとに下級生がレベルアップし、より一層、野田のリーダーシップも問われることになる。
大ケガから復活した頼れるキャプテンを中心に、藤枝明誠がどんな快進撃を見せてくれるか非常に楽しみだ。
文・写真=小沼克年