2023.01.09

京都精華CLUBの坂口美果…3年連続準優勝の悔しさを胸に次なるステージへ

京都精華CLUBのキャプテンを務める坂口美果[写真]=バスケットボールキング
フリーライター

「しんどい顔した方が負けだよ」

 敵将の市川藤乃ヘッドコーチが第1クォーターに発した言葉を借りれば、ずっとしんどい顔をしていたのは京都精華CLUBの方だった。

 1月8日に行われた「Jr.ウインターカップ2022−23 2022年度 第3回全国U15バスケットボール選手権大会」の決勝戦は、大阪薫英女学院中学校相手に最終スコア44-61で敗戦。京都精華CLUBは準決勝に続き中心選手の石渡セリーナ(3年)を欠いたなかでの戦いを強いられたが、山本綱義アシスタントコーチは開口一番に「いや、もう完敗です」とコメントした。

 キャプテンを務める坂口美果(3年)は試合後、涙を浮かべながら自分を責めた。

「まずは自分がキャプテンとしてチームを1つにできていなかったです。あとは、(山本)先生の指示を徹底できなくて……。自分たちは留学生がいるにも関わらずなかなかインサイドで得点を取ることができず、薫英さんにペースを握られてしまいました」

チームは惜しくも3年連続で優勝に手が届かなかった[写真]=バスケットボールキング

 背番号4の言葉どおり、京都精華CLUBは序盤から強みである高さを生かせず、前半終了時点で14-31と大きく引き離された。176センチの坂口は、本来であればフェリックス チヂマ クララ(3年)、ンガルラ ムクナ リヤ(2年)とともにゴール下でイニシアチブを取らなければならない。しかし、この大一番では得意のリバウンドをわずか1本しか奪えず、山本ACからは「坂口がもっと中を注意しろ!」、さらには「お前は何番を付けてるんだ!」という厳しい声が飛んだ。

「あの子の良さはやっぱりリバウンドに絡んで、留学生にディフェンスが集まったときはスッと中に入り込んでチームを助けることです。でも、今日はどうも相手との接触を嫌がっていたので、その弱点が出たと思います」

 今年のキャプテンについてそう口にする山本ACは、坂口が1年生のころから試合に起用してきた。1年間、チームの先頭に立ってきた坂口も「自分は中1から試合に出させていただいているので、今年は自分がチームを引っ張って盛り上げていかなきゃいけないと思って、誰よりも声を出すことを意識してきました」と振り返る。

坂口はキャプテンとしてチームをけん引し続けた[写真]=バスケットボールキング

 京都精華CLUBは京都精華学園中学校のメンバーが大半を占めるため、チームにとっては3年連続のJr.ウインターカップ準優勝。「すごく悔しい思いをしたので、後輩たちには今回の経験をバネにして、みんなで力を合わせて優勝してほしい」とエールを送った坂口は、春には昨年の「高校2冠」を達成した先輩たちとともにプレーする。

「自分としてもこの悔しい経験をバネにして、先輩を助けられるようなプレーをしていきたいです。今のままではゴール下ですぐにやられてしまうと思うので、中だけじゃなくてもっと外からのプレーもできるように頑張っていきたいと思います」

 日本一へは3年連続であと一歩届かなかった。次こそは金色のメダルを掴むため、坂口美果はこれからも歩み続ける。

取材・文=小沼克年