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8月22日、香川県にて「令和5年度全国中学校体育大会 第53回全国中学校バスケットボール大会(香川全中2023)」が開幕。これから世界に挑む渡邊雄太(フェニックス・サンズ)の故郷で、未来の日本代表候補たちが3日間にわたって熱戦を繰り広げている。
大会初日は、男女各24チームが4会場に分かれて予選リーグを開催。公式プログラムに記載されている各校のメンバー表によれば、今大会の最長身プレーヤーは浜松開誠館中学校(静岡県)にいる。
バスケ一家に生まれた後藤大駕(3年)は、すでに父・正規氏の身長を追い越し、家族の間でも最も高いという。後藤は「190センチくらいになったのは中学3年の初め頃です」と言うと、「ちょっとずつですけど、まだ伸びています」と、はにかんだ。
現在の身長は195センチ。小柄なガード陣が並ぶチーム内では一際目立つものの、鈴木信一コーチは「すごく優しいんです」と後藤の内面を明かす。
「あの子はまず、インサイドのリバウンドを頑張ること。あとは自分が点を取らなくても、周りを活かしてチームに貢献する。今日も自分にボールが入らなくても頑張って、体を張っていたと思います」
圧倒的な高さを誇る後藤だが、鈴木コーチが言うようにコートでは得点を量産するのではなく、チームメートを献身的にサポートするお父さんのような存在だ。ゴール下では常に相手と体をぶつけ合い、仲間がアタックできるように3ポイントラインの外まで駆け上がってスクリーンも掛ける。
「自分は体力がなくて、走るのも遅いので、なかなか(ガード陣に)ついていけない時があるんですよ……」。本人はそう言いながらも、大きな体を揺らしてコートを走り回る姿も印象的だった。
「小学校の頃から全国に出た経験がなかったので、去年が初めての全国でした。なので、緊張してちょっと空回りしたところもありました」
後藤にとっては、今回が2度目の全中の舞台となる。この日、チームは初戦の京都精華学園中学校(京都府)に敗れたものの、次の南城市立大里中学校(沖縄県)戦に勝利を収めた。後藤は初日の2試合を振り返り、「個人じゃなくてチームで戦うことを意識して試合に入ったので、自分的にはいいプレーができたかなと思います」とコメントした。
3チームによる総当たりの末、浜松開誠館は予選グループ2位で決勝トーナメントへ進出。前回大会はトーナメントの初戦で敗退したため、後藤もリベンジへ意欲を示す。
「去年はベスト16だったので、まずそれを超えるベスト8に入って、ベスト4までいくのが目標です。明日はたとえ自分がミスをしたとしても、しっかりそのあとのプレーで取り返したいですし、声でもチームを鼓舞できるように頑張りたいです」
練習では3ポイントシュートも打っているようで、将来が楽しみなビッグマンであることは間違いない。だが、現在の後藤は浜松開誠館での目標達成が最優先。チームを高みへ押し上げるため、身を粉にして戦う。
文=小沼克年