2023.08.14

熱気に包まれた第2回WUBS…準優勝の白鷗大、5位の東海大は確かな収穫を今後の糧に

7つの国と地域から計8チームが参戦した「Sun Chlorella presents World University Basketball Series」 [写真]=兼子愼一郎
フリーライター

 7つの国と地域から計8チームが参戦した第2回「Sun Chlorella presents World University Basketball Series(WUBS)」は、国立政治大学(NCUU/チャイニーズ・タイペイ)の優勝で幕を閉じた。日本の東海大学白鷗大学、さらにはアメリカのラドフォード大学を倒しての文句なしの優勝だった。

 惜しくも準優勝で大会を終えたのは白鷗大。決勝戦では相手に3ポイントシュートから気持ち良く試合に入られ、試合開始から0-14と出鼻をくじかれた。その後も「オフェンスがうまくいかなくても、ディフェンスで我慢することができませんでした」(網野友雄ヘッドコーチ)と、前半終了時点で背負ったビハインドは「19」。

 だが、第3クォーターを26-13で上回り、最終クォーター序盤には脇真大(4年)の連続得点で一時5点差。さらには第1クォーターだけで15得点を許したモハメド・ラミン・バイェ(2年)をファウルアウトに追い込んだ。

 白鷗大がこの勢いのまま逆転――。国立代々木競技場 第二体育館もそんな空気に変わった。しかし、ここから勝負強さを見せたのは国立政治大。立て続けにジャンプショットを決めきって猛追をかわし、最後は84-90でタイムアップとなった。

白鷗大は猛追を見せたものの、あと一歩及ばなかった [写真]=兼子愼一郎

 白鷗大は佐藤涼成(2年)が約36分間コートに立って、チームを鼓舞し続けた。終始笑顔で試合自体を楽しもうとする“らしさ”も見せ、24得点10リバウンド3スティールを記録。「前半がすべて」と敗因を口にしたが、後半の出来については「あそこまで追い上げられたということは、自分たちにも力がある」と今後へ手応えも得たようだ。

 攻撃の中心に立つ脇も同様、悔しさを噛み締めながらも、今大会でつかんだ収穫を次のように語った。

「チームとして初めての大会でしたけど、海外の選手たちとプレーできたことで、日本では感じられない高さや身体能力、フィジカルの強さなどをこの3日間で感じることができました。そのなかでもディフェンス、トランジションという自分たちの武器が通用したことは、本当にいい収穫になったと思います」

 一方、2年連続で出場した東海大は5位でフィニッシュ。初戦で国立政治大に敗れはしたが、高麗大学校(韓国)との接戦を59-50で勝利すると、最終戦はペルバナス・インスティテュート(インドネシア)相手に52点差をつけて大会を締めた。

 国立政治大が優勝しただけに、やはり悔やまれるのは初戦だ。東海大は13-23と先手を取られ、最後まで相手を捉えることができなかった。キャプテンの黒川虎徹(4年)も「やっぱり初戦の入り方が大切だなと改めてわかりました」と話し、2度目のWUBSをこう総括した。

「自分たちはどういうチームなのか、ということがわかりましたし、小さくてもリバウンド、ルーズボール、ディフェンスを徹底すれば勝てるという感覚を今大会でもつかむことができました。これからもそれを強みとして戦っていくだけです。自分たちのような小さくて留学生のいないチームが勝つことにも意味があると思いますし、見ている方たちも東海大を応援してくれると思っています。もっとレベルアップしてリーグ戦とインカレにつなげていきたいです」

キャプテンの黒川虎徹を中心とした東海大は初戦の敗戦が悔やまれる大会に [写真]=兼子愼一郎

 8月10日から4日間にわたって開催された2度目のWUBSは、海外チームを応援するファンも駆けつけ、会場全体が熱気に包まれた。

「コロナも落ち着いたことで、去年と比べて観客の数が違いましたし、アウェイのような声援も聞こえたなかでプレーできたことは今後に向けてもいい経験になりました」

 黒川がそう言えば、脇はWUBSで帯びた熱を、2週間後に始まるリーグ戦でも持続させたいというメッセージを送った。

「こうやってファンの皆さんの前でプレーできたことは本当にうれしかったですし、自分たちを応援してくれた歓声が力になりました。リーグ戦、インカレもやっぱり直接会場に足を運んでもらって、自分たちのそばで応援してもらいたいなと思いました」

チャイニーズ・タイペイの国立政治大学が優勝を飾った [写真]=兼子愼一郎

文=小沼克年

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