2023.07.31

悲願の日本一ならず…東山のルーキー・佐藤凪「これで終わりじゃない。絶対に戻ってくる」

東山の1年生・佐藤凪は高校日本一へ向けて決意新た[写真]=伊藤大允
フリーライター

 東山が誇る即戦力ルーキーとして、1年ぶりに北海道に帰ってきた。

 佐藤凪(1年)は昨年、横浜市立大道中学校(神奈川県)のエースとして「第52回 全国中学校 バスケットボール大会」に出場。チームは決勝トーナメント1回戦(ベスト16)で敗れたが、自身は50得点を叩きだして爪痕を残した。

 当時の試合会場は、今夏の「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」と同じ、北海きたえーる。中学卒業後、東山高校(京都府)の門を叩いた佐藤は、その非凡な得点力を買われ、すぐにスタメンに定着した。

 東山には佐藤友(3年)、瀬川琉久(2年)という得点能力の高いプレーヤーが昨年からチームを引っ張る。2人のスコアラーがいる中で、佐藤凪は入学当時こんな目標を口にしていた。

「2人がエースなのはどのチームも知ってることだと思うので、マークもきつくなるし、 対策もされると思います。その中で2人の負担を減らして助けてあげられるように自分が点を取って、バランス良く攻められるようになればいいなと思います」

準決勝の福岡第一戦では流れを呼び込むプレーが光った佐藤凪[写真]=伊藤大允

 この夏、自身初のインターハイに挑んだ。東山は準々決勝で藤枝明誠高校(静岡県)、準決勝で福岡第一高校(福岡県)といった優勝校を撃破。

「自分がスタメンで試合に出させてもらっているということは、出られない先輩方がいるってことなので、やっぱり責任があります」

 しっかり自覚を持ってコートに立つ佐藤凪は、藤枝明誠戦で16得点、福岡第一戦では19得点を挙げる活躍を見せ、全国トップクラスのチームにも躍動した。

 迎えた決勝戦は、日本航空高校(山梨県)と互いに初の日本一をかけて激突。東山の背番号13はこの試合、立ちあがりからアウトサイドを中心に得点を重ね、第3クォーター序盤には続けてジャンプシュート、3ポイントシュートをマーク。この時点で11得点を記録したが、そのあとは打てども打てどもリングに嫌われた。

 最終スコア60-76。日本一を逃し、チームメイトとともに佐藤凪は涙を流した。

「自分の実力不足です。もっと練習しなければいけないですし、先輩たちにシュートを任せてもらっているのに決められなくて、本当に申し訳ない気持ちです。試合に出てる以上、もっと責任感を持ってプレーして、シュートを決めきれる選手にならなければいけないなと思いました」

佐藤凪は決勝戦で11得点…日本航空の壁に阻まれた[写真]=伊藤大允

 昨年は全中に加え、横浜ビー・コルセアーズU15のメンバーとして出場した「Jr.ウインターカップ2022−23 2022年度 第3回全国U15バスケットボール選手権大会」では惜しくも準優勝。「B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2023」では3位に終わった。

「高校こそは日本一になりたい」。初の日本一になれるチャンスだったが、あと1勝足りなかった。

「中学校でも何回も日本一を逃してきて、やっと先輩たちと日本一になれるチャンス掴むことができたんですけど、結果に結びつかなくて本当に悔しいです」

 それでも、下を向いている暇はない。176センチの点取り屋は北海道での夏を終え、悔しさを噛み締めながらも「まだ始まったばかり」と前を向いた。

「今は悔しいですけど、なるべく早く気持ちを切り替えたいと思います。自分としては初めての経験でしたけど、たくさんの人が見てくれた中で不甲斐ないプレーしてしまったのは情けないです。でも、絶対にまた決勝の舞台に戻ってきて、もっとレベルアップした姿を皆さんに見せたいです」

 佐藤凪はこうも話した。「これで終わりじゃない」。その言葉を信じるのみだ。

取材・文=小沼克年
写真=伊藤大允