2023.07.31

インハイ連覇逃した福岡第一のエース・崎濱秀斗「落ち込むことなく前を向いて」

準決勝ではチーム最多27得点を挙げた崎濱秀斗[写真]=伊藤大允
フリーライター

 連覇を目指して臨んだ「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。福岡第一高校(福岡県)は決勝までたどり着くことができず、ベスト4で涙をのんだ。

 東山高校(京都府)との準決勝は、メイン会場の北海きたえーるが1面仕様に切り替わった7月29日の最終試合。直前に福岡第一と同じく優勝候補であった開志国際高校(新潟県)が敗れており、その余韻も残る中で試合は始まった。

 試合は、第1クォーターから東山に先行を許した福岡第一が追う展開に。反撃のキッカケをつかもうとするがなかなか点差が縮まらない。前半を37-49で終了すると、後半にはさらに東山に気持ちよくオフェンスを展開されてしまい、ビハインドは広がるばかりとなった。それでも、第4クォーターにはハードなディフェンスからボールを奪って得点につなげるという福岡第一の十八番ともいえるプレーを披露。しかし、それまでに付いた点差があまりにも大きく、最後は75―93で敗れた。

 ディフェンスに重きを置く福岡第一だが、この試合では93失点。「負けるときはこういう負け方ですよね…」と、井手口孝コーチは、試合を振り返った。

 また、東山との一戦では、福岡第一の特長でもある相手が嫌がるような『畳み掛ける強さ』が鳴りを潜めたが、それについては「結局、チームとしても鍛え切れてない。修正力がないというか。修正力をつけるような練習や練習ゲームをやりこめていない」と、指揮官は言う。それには主力の度重なるケガで、全員がそろっての練習を満足にできていないことも影響しているよう。長きにわたって同校の指導にあたり、これまでも幾度となく優勝を経験してきた指揮官だからこそ、その『やりこめていない』ことには一抹の不安もあったようだ。

東山との準決勝では試合中盤に突き放された[写真]=伊藤大允

 もちろん、ケガを言い訳にしているわけではないし、それだけが敗因でもない。だからこそ、「この結果を生かさないといけないと思います。(指導者と選手が)お互いに信じ切れるぐらい練習をやらないといけないのでしょう」と、井手口コーチは言う。特に今年は主力がガラッと変わり、昨年からの試合経験があるのは崎濱秀斗(3年)のみ。だからこそ、これだけやったという自信をつけるための時間がチームには必要なのかもしれない。

「率直に自分の力が足りなかったと思います。自分がしっかり引っ張っていくっていうことを先生から任されていたのですが、それをメインコートの舞台でうまく表現できなかったので自分の責任です」と、語ったのは崎濱。

 ただ、「この大会でたくさん課題が見つかりました。2回戦では16点リードされてから逆転したので、そういう逆転する力も自分たちは持っていると思います。そこはしっかり自信に変えて。この経験を生かして、どれだけ課題を克服できるかがウインターカップでの優勝につながると思います」とも発した。

 冬の決戦まで約5カ月。それまでの期間には、「U18日清食品トップリーグ2023」も控えている。

 「ここで止まらず、すぐに切り替えて。天皇杯(福岡県代表決定戦)もすぐあるし、日清(トップリーグ)もあるので、自分は落ち込むことなく、前を向いていこうと思います」

 福岡第一のエースは、冬へのリベンジを誓い、会場を後にした。

取材・文=田島早苗
写真=伊藤大允