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7月、北海道で行われた令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」で、福岡第一高校(福岡)は準決勝で東山高校(京都府)に75−93で敗れ、大会連覇の夢は叶わなかった。9月24日、「U18日清食品トップリーグ2023」に出場中の福岡第一の井手口コーチは仙台大学附属明成高校(宮城県)後にメディア対応し、「この大会を個人の成長の場と捉え、主力だけでなく控えメンバーの底上げを目指している」ことを明かした。
その典型的な例が1年生の宮本聡、宮本耀の積極起用だろう。9月18日、ノーリツアリーナ和歌山で行われた藤枝明誠高校(静岡県)から投入された宮本ツインズは、23日、24日、アリーナ立川立飛で行われた福岡大学附属大濠高校(福岡県)、仙台大学附属明成高校(宮城県)との対戦でも随所にチームのモットーである堅守速攻を体現。チームに勢いを与えている。
しかし、23日の福大大濠戦で福岡第一は大きなアクシデントに見舞われる。エースでダブルキャプテンの一人、崎濱秀斗が第2クォーター終了間際にコートに座り込んだ。その後、抱えられてベンチに戻ったものの、その後、試合に戻ることはなかった。
さらに翌日、崎濱は松葉杖をついて会場に姿を見せる。試合後、メディア対応した井手口コーチは、崎濱について左足の骨折だったと明かした。全治にどれくらいかかるのか、負傷具合の詳細などは改めて精密検査を行ってはっきりすると語ったが、「そこは崎濱の運次第。ウインターカップに間に合うかもしれないし、最悪の場合は間に合わないことも想定しなければいけないですね」と、表情を曇らせた。
当然、チームづくりを白紙に戻さなければいけないほどの大きなアクシデントだ。井手口コーチは「(ウインターカップ福岡県予選決勝が行われる)11月3日に多分崎濱(秀)は出られないので、トップリーグや今後行われる胎内カップを通じて考えていかないといけないですね」とコメント。
「当然、(ダブルキャプテンの一人である)山口(瑛司)に背負ってもらうことになりますが、誰が不在をカバーすることになるのかについては1年生の起用も考えないといけないかもしれませんが、(福岡に)残してきている2年生もいるので、明日から色々と試したいと思います」と、今後の方向性を語った。
その山口は崎濱(秀)不在の中で行った試合を振り返り、「いつも苦しいときの得点をはじめすべてをやってくれていたので、改めて秀斗に頼りすぎていたんだなと思いました。ただ今の状況の中、引っ張るのは自分しかいないと思っているので、練習から盛り上げていきたいと思います」と決意を新たにする。
事実、福大大濠戦の試合を決める最終盤には、山口が積極的に1対1を仕掛けてオフェンスをリード。第4クォーター残り23秒にはこの試合で20点目となるジャンプシュートを沈めて、試合を決定づけた。
また、「ディフェンスの強度をもっと上げたり、ターンオーバーを減らさないと」と課題を口にする山口。「1年生があれだけ頑張っているのですから、2、3年生が答えを出さなければいけないという気持ちです」と表情を引き締める。「インターハイが終わったころからから比べて1年生が伸びてきているのも感じます。あのプレスは僕らでも手こずることがありますから」と、チームとしての成長を感じ取っているようだ。
エース不在の状況を残されたメンバーがどのようにカバーしていくか。チームのピンチが選手個々の成長を促し、チームの結束を高めるきっかけになるかもしれない。トップリーグ、さらにはウインターカップの優勝候補の今後に目が離せないのは事実だ。
文=入江美紀雄