2023.07.29

インターハイ2023男子準決勝見どころ「2年連続の決勝を見据える強者に、日本航空と東山がチャレンジ」

準決勝に進出した(左から)開志国際、日本航空、東山、福岡第一 [写真]=伊藤大允
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 7月28日、「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の男子準々決勝が行われ、ベスト4が決定した。今大会は昨年のインターハイ決勝で相まみえた開志国際高校(新潟県)と福岡第一高校(福岡県)に加え、東山高校(京都府)、日本航空高校(山梨県)という顔ぶれ。各ブロック大会の王者が名を連ねた。

 決勝進出をかけた準決勝は、日本航空が開志国際に、東山が福岡第一に挑戦者として挑む構図となる。

■怪物・ジェラマイアが開志国際にも猛威を振るうか

 3回戦では、延岡学園高校(宮崎県)に84−80と苦しめられた開志国際。しかし、準々決勝の尽誠学園高校(香川県)では第2 、第4クォーターに引き離して37点差で快勝を収めた。相手を58得点に抑え込み、「今日はみんな集中していて足が動いていた」と富樫英樹コーチも評価。オフェンスではここまでの3試合で平均93.3得点をマークしており、ネブフィ ケルビン シェミリー(2年)は20点超えのダブルダブルを継続中だ。

 指揮官は日本航空戦へ向け、「まずは留学生をどう止めるか」をポイントに挙げた。準決勝でもシェミリーの奮起が必須となるだろう。

開志国際の得点源の一人、中島遙希 [写真]=伊藤大允


 富樫コーチが警戒する留学生というのが、オルワペルミ・ジェラマイア(2年)だ。日本航空の大黒柱として君臨するジェラマイアは、今大会の初戦から37得点29リバウンド8ブロックをたたき出すと、準々決勝では24得点26リバウンドをマーク。コートを支配し続け、チームを山梨県勢初のベスト4へ導いた。

 他の選手たちもそれぞれの仕事を全うし、今大会は未だ70点以上の失点がない。攻撃では藤野仁喜(3年)やベンチから登場する3ポイントシューター・中西哲太(2年)も好調をキープしているため、開志国際が誇るガード陣にどこまで対抗できるかに注目だ。この勢いのまま、「留学生任せにならず、チーム一丸」(山本裕コーチ)で金星を狙う。

日本航空の大黒柱、オルワペルミ・ジェラマイア [写真]=伊藤大允

■福岡第一の“盾”か、東山の“矛”か

 福岡第一 vs 東山は、全国トップレベルの“矛盾対決”だ。

 開志国際と同様、福岡第一は3回戦の桜丘高校(愛知県)戦を71−68の僅差で制し、仙台大学附属明成高校(宮城県)との準々決勝では最終スコア90−63。準決勝進出後の井手口孝コーチは「今日はよく守れました」と振り返った。

 堅守速攻を掲げる同校は、初戦の北海道旭川工業高校(北海道)も60点にシャットアウト。磨き上げた守備力を最大の武器に、まずは2年連続の決勝進出を狙う。

福岡第一のエース、崎濱秀斗 [写真]=伊藤大允


 対する東山は、山場となった準々決勝の藤枝明誠高校(静岡県)を鮮やかな逆転勝ちで制し、ベスト4へ進出した。「気持ちの部分で少しだけ上回れました」(大澤徹也コーチ)と、相手エースの赤間賢人(3年)に40得点を許したものの、最終スコアは89−79。瀬川琉久(2年)が35得点で攻撃をけん引し、守備では3年生の小泉広翔、ナトゥリ ベナミネが体を張り続けて勝利を手繰り寄せた。

 高い攻撃力を誇るチームを引っ張るのは瀬川、佐藤友(3年)、佐藤凪(1年)の3選手。福岡第一は崎濱秀斗、山口瑛司(3年)の2ガードが軸となるため、瀬川、佐藤凪の下級生ガードがどこまで通用するかが問われる。「そこはもう、3年生がやってくれるでしょう」と自信をのぞかせる井手口コーチのプランを崩すことができるか。

 一方、大澤コーチは「福岡第一さんの長所を止めに行くのではなく、得点を取りに行くオフェンシブなゲームができるように頑張りたいです」と真っ向勝負を挑む構え。4月にカップ戦で対戦した際には68−92で福岡第一に軍配が上がっているだけに、新戦力のカンダ サロモン(1年)の働きもポイントになりそうだ。

準々決勝の藤枝明誠戦で35得点をマークした東山の瀬川琉久 [写真]=伊藤大允


文=小沼克年
写真=伊藤大允

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