2023.08.13

白鷗大、WUBS制覇に王手…エース脇のトラブルを全員で乗り越え初代王者を撃破

チームの危機を救った白鷗大の陳岡 [写真]=小沼克年
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 白鷗大学が2代目WUBSチャンピオンに王手をかけた。

 アテネオ・デ・マニラ大学(フィリピン)との激突した「Sun Chlorella presents World University Basketball Series(WUBS)」準決勝は、73−58で快勝。最終的に15点の差がついたが、第4クォーターまではどちらに転んでもおかしくない展開だった。

 この試合、白鷗大は脇真大(4年)が両チーム最多となる15得点の記録。しかし、チームのエースは決して本調子ではなかった。序盤からシュートがリングに嫌われる場面が多く、第1クォーターには脇の口からは「やべー…」と漏らす声が聞こえるほど。審判の笛にもアジャストできず、第3クォーター中盤には2度目のオフェンスファウルを取られて4個目のファウルを犯す。ベンチへ下がらざるを得ない状況となった中、ラスト10分を残してのスコアは43−40と拮抗していた。

 しかし白鷗大は、エース不在の最終クォーターで30−18と突き放した。ポーグ健(3年)の連続得点で5点を積み上げると、陳岡流羽(3年)、八重樫ショーン龍(1年)、ジョエルモンガ(2年)らの得点でたたみ掛け、終盤には点差を16点に拡大。3分あまりで一気に流れを呼び込み、試合を決めた。

陳岡は重要な場面でチームをけん引した [写真]=小沼克年


 ファウルトラブルに陥った脇に代わってコートに立ったのは、陳岡。「脇さんが下がってしまったので、まずは得点を取ること。あとは自分の持ち味でもあるディフェンスでも貢献することを意識しました」。普段も途中出場から流れを変える役目を担う背番号8は、この一戦でも役目を果たして7得点4リバウンドをマークした。

 チームは大会直前まで、脇、佐藤涼成(2年)、境アリーム(1年)の3選手、さらには網野友雄ヘッドコーチがU22日本代表活動のためチームを離れていた。それだけに、ベンチメンバーも存在感を示して勝利できたことは、陳岡にとって喜びもひとしおだった。

「脇さんたちが代表活動をしていたとき、残ったメンバーでずっと練習していました。4年生はケガ人もいて少ない状況だったので、3年生の根本(大)やポーグ、僕とかが積極的に声を出してチームを引っ張っていました。アシスタントコーチの(石井)悠右さんもずっと僕たちにアドバイスしてくれていたので、今日はその成果が出せてよかったです」

 最後はコートに戻った脇も仲間へ感謝の言葉を送り、決勝戦を見据えた。

「自分がファウルトラブルになってしまっても、チームメイトが頑張って繋いでくれました。明日も日本のファンの皆さんの前でプレーできることに感謝して、全員で優勝を狙いにいきたいと思います」

決勝戦での活躍を誓った脇 [写真]=小沼克年


「次は最初からシュートをねじ込んでほしい」と、陳岡はエース復活を期待する。けれど、脇が活躍しすぎると自分の出番が減ってしまうというジレンマもあるようだ。「今日も途中まであまり出られなかったので、ファウルしてくれてよかったです(笑)」とも漏らしたが、優勝へ向けては「自分はもっとチームに貢献できると思っているので、明日もハードワークして流れを変えたいですし、絶対に勝って優勝したいです」と力を込めた。

 WUBS初代王者のアテネオ大を退けた白鷗大は、優勝をかけて国立政治大学(チャイニーズ・タイペイ)と激突する。東海大学、さらにはラドフォード大学(アメリカ)を撃破して勝ち上がってきた強敵だ。

 チーム史上初の栄冠、さらには今季初タイトルをかけ、白鷗大は今日も一枚岩となって勝利をつかみにいく。

取材・文・写真=小沼克年

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