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スタメンの平均身長は185センチ。高さもフィジカルも中学生離れした“やんちゃ軍団”の強さは、予想以上だった。
「令和5年度全国中学校体育大会 第53回全国中学校バスケットボール大会」の男子の部は、四日市メリノール学院中学校(三重県)が大会2連覇を達成した。
初戦からの戦いぶりを振り返ると、予選リーグ2試合を107-33(vs桐朋中学校/東京都)、78-37(vs倉敷市立南中学校/岡山県)の完勝で突破。決勝トーナメント1回戦では地元・香川県の丸亀市立南中学校を43点差で破り、準決勝の京都精華学園中学校(京都府)戦も相手を50点以下に抑え込んでの勝利。そして決勝戦は、再び顔を合わせた倉敷南を98-48で退けた。
今大会で最も点差が少ない48-70で敗れた京都精華学園の奥田翔コーチは、大会連覇を成し遂げたライバルを「高校生かと思うようなの選手ばかりで圧倒されました」と脱帽し、京都精華学園のキャプテン・山崎燦吾(3年)は「一人ひとりの能力が高くて、フィジカルも一対一も強かったです」と印象を述べた。
高さと強さを兼ね備え、32分間走り切る走力もある。個々のスキルが優れているだけでなく、5人の息の合った連係プレーでも相手を圧倒する。そんな自軍の選手たちを、山﨑修コーチは取材中に何度も「やんちゃな子」と例えた。けれど、その強さの秘訣は「ファンダメンタル」だと語る。
「今年はシンプルにシュート、リバウンド、ディフェンスといったファンダメンタル。体づくりもコツコツやりました。選手たちは単純な練習で嫌だったと思いますけど、辛抱するのではなく『やるんだ!』という気持ちで取り組んでくれたと思います」
「いっぱいご飯を食べてトレーニングも頑張って、今は70キロくらいになりました。みんなが体づくりからちゃんと取り組んでいますし、そのおかげで自分たちの体も強くなりました」
櫻井がトレーニングの成果を話せば、キャプテンの中村颯斗(3年)も「体幹トレーニングとかを練習前に1時間くらいかけてみっちりやってます」と明かす。
指揮官は、今大会で披露した圧巻の強さについて「偶然いい生徒に恵まれただけ」とも話したが、選手たちが今後の長いバスケット人生においても活躍し続けるには「そういう能力のある選手こそコツコツやらないとダメです」と主張し、こう続けた。
「中学でバスケット人生が終わりではないですし、中学時代が最高という選手には育てたくないです。将来、上のカテゴリーに上がっても正々堂々と戦えるようになってほしい。今、日本のバスケットが本当に夢を叶えられる時代になってきました。大したことでなくてもいいので、中学生でもこのチャンスを何か一つでも掴んでくれればいいかなと思います」
中村は「いい部分も悪い部分もあった大会でした」と3日間を振り返り、「冬のJr.ウインターカップで初優勝して2冠を目指します」と今後の目標を誓った。
昨年のJr.ウインターカップは準決勝で涙をのんだ。だが、新チームになって以降はいまだ公式戦負けなしを誇る。櫻井は「去年負けてしまっているので、これからも山﨑先生の基礎練習をしっかりやり続けて、もっとプレーの質を上げられるように頑張っていきたいです」と意気込み、自信をのぞかせた。
「そうすれば、冬も勝てると思います」
次々とネットに突き刺さる3ポイントシュート、相手を吹き飛ばすほどの力強いフィニッシュ、リバウンドからあっという間に得点を奪う速攻――。
今大会で四日市メリノール学院が見せた華麗なプレーの数々、強烈な強さの裏には、日々積み重ねた努力の結晶があった。
取材・文=小沼克年
写真=吉田孝光