2024.02.24
8月2日、OPEN HOUSE ARENA OTAで開催された「男子日本代表国際強化試合2023 太田大会」でニュージーランドと対戦した日本代表は、第1クォーターには、71.4パーセント(7本中5本)の3ポイントシュートを決められるなどして17−29と12点のリードを奪われた。
試合後の会見で日本のトム・ホーバスヘッドコーチは、「出だしはちょっと足りなかったけど、第2クォーターからよく変わったと思います」と振り返る。しかし、ニュージーランドに思いどおりにシュートを決められた状況を変えていったのは、言うまでもなく日本のディフェンスだった。
ホーバスHCが「ボールを持った相手に対して、強いプレッシャーをかけてくれた」と評価したのが須田侑太郎だ。第2クォーター、残り6分50秒、比江島慎に替わってコートに入った須田は、プレッシャーの強いディフェンスで相手にターンオーバーを誘発させるなど持ち前の武器を発揮。それに呼応するように、他の選手もディフェンスへの意識を高めていったと言えるだろう。
ディフェンスから早いオフェンスという持ち前のリズムを取り戻した日本は、18−0のランを見せて逆転に成功。その後も、ディフェンスの強度を落とすことなく、リバウンドやルーズボールでも互角以上の戦いを見せて、強化試合の初戦に勝利した。
入りだしたら止まらない3ポイントを武器にする須田だが、それでも信条とするのはホーバスHCが信頼を置くディフェンスにある。須田のディフェンスに対する姿勢がチームのスタンダードを上げ、この日のように他の選手に伝播することも少なくない。
「自分を鼓舞する部分でもあるのですが、みんなを巻き込むことが大事だと思っていて。一人で頑張っていても孤立しては意味がないし、チームで、ということを常に意識しています。昨年のBリーグでもそうだったのですが、そうすることで自分たちに流れを引き寄せていいリズムを作っていける。そこにやりがいを感じていますし、本当に(今日の試合では)そこは良かったと思います」
とはいえ、須田のポジションにはこの試合でチーム最多の13得点をマークした富永啓生、国際大会の経験が豊富な比江島や馬場雄大、ここに来て存在感を増している原修太などがおり、ロスター12名入りにライバルが多いのも事実。それに対して、「あまりとらわれないようにしています」と、須田は意に介さなかった。
「メンタル的にもすごく難しい状況にいるのはわかっています。でも、そこで個に走ったプレーをするのは絶対に良くないので、それはしないつもりです。自分がチームのためにできることはディフェンス。それを試合だけでなく、練習からしっかり出して、存在感を示していきたいですね。そんな心意気です」
こともなげに語る須田。そのフォア・ザ・チームの姿勢は出身校の東海大学から来ているのかと問えば、「そうですね。このマインドのベースになっているのは陸さん(東海大・陸川章監督)の教えです。それに支えてもらいながらここまで色々と経験をしてきて今の自分があるし、礎になっています」と笑顔で答えてくれた。
その東海大でチームメートだった元日本代表の田中大貴も須田のパフォーマンスを気にかけているようだ。「連絡は取っています。この前の韓国戦でベンチからは外れたときは『今日大丈夫? シュートを決めきれてない?』っていじってきました(笑)。でもなんかすごく気にかけてくれているみたいですし、それも大貴の愛だとわかっているので、適当に返しながらやってます」と、表情を崩した。
厳しいサバイバルの場に身を置きながらも、それでもチームを第一に考える須田。この姿勢は須田のディフェンスと同様にチームへ確実に伝播しているはずだ。
文=入江美紀雄
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