2024.08.04
世界王者のドイツに食らいつくことはできたが、終盤は息切れてしまい、77−97の20点差で敗れた日本。
ただ、昨年のワールドカップでは前半で22点差(最終スコア63−81)、7月20日の強化試合では前半で25点差(最終スコア83-104)をつけられたが、今回は違った。前半を44-52と一桁差で折り返し、第3クォーターには打ち合いになったシーンもあった。八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)とジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)がインサイドで踏ん張り、トータルリバウンドで39対36本と上回ったからこそ、中盤まで競り合うことができた。明らかに、これまでよりステップアップした試合を展開したのだ。
この1年で3度目の対戦。手の内を知るドイツに対しては、起点となる司令塔のデニス・シュルーダー(ブルックリン・ネッツ)と、高確率で3ポイントを決めるアンドレアス・オブストのラインを断ち切ることが命題とされた。そのプランに対して日本は、7月22日のセルビアとの強化試合から2番のスタメンに抜擢された吉井裕鷹(三遠ネオフェニックス)がシュルーダーにマッチアップすることで対策。また、渡邊雄太(千葉ジェッツ)の完全復活も日本にエネルギーをもたらしていた。
6月上旬に左ふくらはぎの肉離れを起こしていた渡邊は、「オリンピックまでに間に合うかどうかギリギリの状態」であることを明かしており、国内で行われたオーストラリアと韓国との強化試合を欠場。「大会までにやれる最大のことをやって死ぬ気で治します」と語っていた。
その言葉通り、7月22日にセルビア戦との強化試合で復帰。プレータイムは15分程度で制限がかかっていたが、スタメンとして登場し、3ポイント2/4本を含む10得点をマーク。渡邊の復活は高さとディフェンス面で効果をもたらし、チームの3ポイントも20/46本(43パーセント)まで上がったことで、上昇の兆しを見せた試合になった。左足全体に黒いサポーターをつけて走る姿からは、リハビリを懸命にこなしたであろう日々が目に浮かび、「絶対にオリンピックのコートに立つ」という心意気が伝わってきた。
渡邊はトランジションのから3ポイントを確率よく決めて(3/5本)前半で13得点。見せ場となったのが、16点差をつけられた前半残り3分。富樫勇樹(千葉J)からのパスを受けて3本目の3ポイントを決め、停滞していた流れを引き寄せたシーンだ。この後、八村がフリースローでつなぎ、前半を8点差で終えている。
だが、後半は修正してきたシュルーダーのゲームメイクを止められず、ドイツのベンチメンバーに多くのスコアを許してしまい、第4クォーターに失速。八村とホーキンソンはプレータイムが35分超え、渡邊も34分出場。決勝トーナメントに進むには得失点差が重要となるため、初戦は手堅く点差を離されないプランを遂行するしかなかった。
後半に失速してしまったことは反省点だ。ただ、渡邊個人のことで言えば、オリンピック前に一試合しかこなせない中で、よくぞ本番に間に合ったと言える。渡邊は3ポイント4/9本(44パーセント)、2ブロック2リバウンド16得点を記録し、オリンピックで戦える体調であることを示した。ドイツ戦で得た経験値と手応えを次戦につなげるのみだ。
渡邊はこう締めくくり、3日後のフランス戦を見据えた。
「大事なのは次の試合。フランスは間違いなく高さで勝負してくる。高さを嫌がって足を止めたら終わり。自分たちからオフェンスを早く仕掛けて、相手を疲れさせることが大事。次の試合では40分間戦い続けます」
文=小永吉陽子
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