2024.05.07
この春に大学を卒業し、いよいよBリーグでプロアスリートとして本格的なキャリアをスタートさせる“新卒”の選手たち。バスケットボールキングでは、そんな選手達のなかでも特に注目すべき5人の選手をピックアップして、その経歴やパーソナリティーを紹介する。2人目に紹介するのは、広島ドラゴンフライズの中村拓人だ。
文=小沼克年
学生時代から着実に実績と経験を積み上げ、中村拓人は世代を代表するポイントガードと呼ぶに相応しい選手となった。
地元の中部大学第一高校では2年生の頃からスターターを務め、主将としてチームを引っ張った3年次はインターハイとウインターカップで準優勝。この年に開催されたインターハイは代表活動により出場できなかったが、中村はU16とU18の日本代表にも名を連ねている。2018年4月に「FIBA U16 アジア選手権大会2017」、同年8月には「FIBA U18アジア選手権大会2018」に出場し、U16では代表チームのキャプテンも担った。
当時から180センチを超える身長があり、高校3年次の頃には現在と同じ「184」。高校生のポイントガードとしては高さでアドバンテージが取れることが1つの魅力でもあった。中村はその上背と持ち味であるドライブから得点を量産し、さらには落ち着いたゲームコントロールで試合の流れを支配。中部大第一の起点となり、まさに「頼れる大黒柱」という存在であった。
2年目からはケガで離脱した時期もありながらも、中村は大東文化大の不動のポイントガードとして活躍。相手との駆け引きのうまさ、高校時代からの力強いドライブもあれば、独特のステップで相手を置き去りにするスキルでも会場を魅了した。
大学ラストイヤーではリーグ戦とインカレで優秀選手賞に選出された魅惑の司令塔だが、ポイントガードでプレーするようになったのは高校からだという。高校3年のウインターカップでの取材の中で、中村はこんなコメントを残している。
「元々、僕はガードのポジションやっていなかったんですけど、『(常田健コーチから) お前をずっとガードとして使っていく』って言われて、1年生の時からいろいろな経験をさせてもらいました」
「あまり話すキャラではない」とも口にしていた中村は、高校、大学での経験を通じて声で仲間を鼓舞するリーダーシップにも磨きをかけた。特別指定選手としてプレーした期間も合わせれば、今シーズンでBリーグ3年目。広島の地で新たな実績と経験を積み上げる22歳のさらなる進化に、期待せずにはいられない。
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