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「狙いました。最初はタイトに付かれていたけれど、自分が4番ポジションになると、3番ポジションの時と比べて(相手のディフェンスが)ルーズになるのことがあるんです。そこを絶対に逃したくなかった」
JX-ENEOSサンフラワーズの宮澤夕貴がそう振り返ったのは試合開始から5分経っての3Pシュートのこと。JX-ENEOSが僅か1点リードの中、宮澤は小気味よく3Pシュート2本を沈めたのだが、実はこのシーン、メンバーチェンジ等で、その少し前から宮澤をマークする選手が3番ポジションから4番ポジションの選手へと変わっていた。そのため、先のコメントの通り、相手の一瞬の隙を突いて3Pシュートを放ったのだ。
試合は、このプレーをきっかけに先行したJX-ENEOSが勝利。宮澤は、3Pシュートだけでなく、ミドルシュートやリバウンドシュートにと多彩な攻めで22得点を挙げた。
レギュラーシーズンからここまで、「得点が伸びなくて」と決して本人は納得はいっていないが、今シーズンは冷静な判断から、その場の状況に応じた巧みな攻めを披露。ここぞというシュートで幾度となくチームに良い流れを生み出してきた。
「今年は本当に冷静になりました。一つひとつのプレーに関して『今は何をしたいか』『どうしなくてはいけないのか』が分かるし、前は慌てていたこともありましたが、今は『わざとこっちに動いたら相手がこう来る』など、考えてプレーする、予測することができるようになりました」と、宮澤。
それには“経験”も大きいという。特に昨年秋の「FIBA 女子バスケットボールワールドカップ2018」では、デンソーアイリスの髙田真希とともに日本代表の柱としてチームをけん引。このことが、「チームを引っ張っていく立場になって分かることがありました。ここで決めたらチームが流れに乗るといったことなど、『ここ大事だな』とか、『ここ一本守りたい』とか、流れがつかめるようになりました」と、さらに宮澤を成長させた。だからこそ、ファイナルでの大事な第1戦でも、好機を逃さなかったのだ。
いまや代名詞とも言えるワンハンドの3Pシュートなど、得点シーンは華やかな宮澤は、JX-ENEOSや日本代表と様々な経験を重ねて“したたかさ”も身に付けた。
チームは第1戦の勝利で11連覇に王手を掛けた。だが試合後、「まずはディフェンス。今日(第1戦)は序盤にシュートを何本もやられてしまったので、そこを修正すること。(自らの)3Pシュートに関してはチャンスがあれば打っていきたいし、もう少しリバウンドにも絡んでいきたいと思います」と、勝利にも浮かれることなく、宮澤は第2戦を見据えていた。
文=田島早苗
写真=WJBL