2020.09.03

【Wリーグ開幕特集/注目選手】ENEOSサンフラワーズ・林咲希「必死さを前面に出していきたい」

3ポイントシュートだけでなくマルチな働きを見せる林咲希
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取材・文=田島早苗
写真=ENEOSサンフラワーズ、Wリーグ

 9月18日より開幕する第22回Wリーグ。先シーズンは新型コロナウイルス感染症の影響で中断となり、公式戦は今年2月23日以来となる。バスケットボールキングでは新たに始まるシーズンに向け、全12チームの注目選手にインタビューを行い、新シーズンに向けての思いを聞いた。

 第2回は昨シーズンのレギュラーシーズン1位、今シーズンよりチーム名が変更となったENEOSサンフラワーズ林咲希。昨シーズンは日本代表としても大きな存在感を放ったシューターで、4年目となる今シーズンはチームの主軸としての活躍が期待される。

――新型コロナウイルス感染症の影響で、途中で中止にはなりましたが、昨シーズン(2019-20)は、林選手にとってどのようなシーズンだったのでしょうか。
 (リーグの)前半はあまり印象に残っていないんですよね…。どれだけ試合に出てたのかもあいまいで…。日本代表の活動も多かったし、ベルギーの後(2月に開催された「FIBA 東京2020オリンピック予選大会」)、リーグ戦が1週(2試合)だけあったと思うのですが、あの時はアースさん(宮澤夕貴)が試合に出られなくて、それで私の出場時間が長かったという印象は大きいんですけど…。そういうことを考えると、昨シーズンはもう少しやりたかったなという思いがありますね。

――自身のパフォーマンスを総括するまでもなく途中で終わってしまったということでしょうか?
 でも、いい終わり方というか、自分の持ち味を出せて終わったところはあるので、悪い印象で終わったわけではないですね。

――昨シーズンは、日本代表の活動回数が多く、林選手にとっても大きな変化だったと思います。
 そうですね。ただ、やることというのが変わることはなく日本代表ではとにかく3ポイントシュート。逆にJX-ENEOS(現ENEOS)の方が3ポイントシュートだけでなく、2ポイントのシュートなどの役割もあり、日本代表の時より良い意味で自分自身の課題が出ることが多かったと思います。

――確かに、日本代表では3ポイントシュートがメインになりますよね。
 はい。3ポイントシュートとディフェンスと。あと、走ることに関しては日本代表もENEOSも変わらないですね。日本代表では走ることができたから、いい流れを引き寄せることができたのかなと思います。

――シーズンを戦いながら、日本代表活動もある、両立する大変さは感じましたか?
 ENEOSの方が練習から気が抜けないというか(笑)、キツいです。日本代表の方が、トムさん(ホーバスヘッドコーチ)の考えが理解できていたこともあり、苦もなくやれました。

 トムさんには(11月の)「FIBA 女子アジアカップ 2019」の時に3ポイントシュートに関して厳しく注意をされましたが、そこで3ポイントシュートを打つ大切さを知ることができたし、相手は大きいけれど、それでも打たなくてはいけないんだと再認識することができました。

――さて、今年はコロナウイルス感染症の影響で今までにないオフシーズンでした。
 そうですね。実家には帰らず、ずっとチームの寮にいました。制限はあるものの、体育館が使えたので、個人で練習をしていました。

――特に重点を置いていたものはありましたか?
 昨シーズンよりも体の使い方をしっかりしないといけないと感じています。(入団して)1、2年目はケガがありましたが、ケガで途中離脱して、そこからの復帰はすごくキツかったんです。3年目の昨シーズンはケガなく終わることができたこともあって、まずはケガをしないで1年を過ごせる体を作るようにと考えました。ウエイトに加えて動きの面、ストップだったり切り返しだったりとアジリティ系も含めてトレーニングコーチと取り組めたのは良かったと思います。

――今は練習試合なども行っていますが、昨シーズンからの変化はありますか?
 昨シーズンより周りが見えるようになってきたからかもしれないですが、少し余裕を持ってできているのかなと思います。

――今年は4年目。長年チームをけん引してきた吉田亜沙美選手が退団もありますし、「自分が引っ張っていかないと」という意識は強いのではないですか?
 ありますね。そこに関してはまだまだ足りないというのは感じていて、もっと早くENEOSの形というか、考えなくてもすぐ体で動けるようにしたいなと思っています。ガード2人が抜けた分、今はチームみんなで頑張っているので、私が引っ張りながら、先行して行くつもりでやりたいと思っています。一人ひとりが注意深く気を使うというか、(あらゆる面で)気を抜きさえしなければ絶対的強さはあと思っています。

――今シーズンへの手応えはありますか?
 練習試合をやっていく中で課題も見えていますし、その課題に対してミーティングなどでみんなが話をすることも増えたので、やることは明確になっていると感じています。

――最後になりますが、ファンに向けてどのようなプレーを見せたいと思っていますか?
 昨シーズンはほぼ3ポイントシュートをメインでやっていましたが、2ポイントのシュートも狙いながら、1試合15〜20点取るのが目標にしています。

 ディフェンスでもアグレッシブというか熱い気持ちが伝わるように。オーバーにやらないと伝わることも伝わらないと思うので、必死さを前面に出していきたいと思います。それがチームの勢いにもなると思うので。

 

日本代表でも頭角を現している林[写真]=Wリーグ

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