Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
「今まで4試合を戦って、なかなか調子が上がりませんでした。でも、ようやく自分らしいプレーが発揮できて安心したし、チームとしてもやってきたことを出すことができました。それに、チームで戦えたこともすごくうれしかったです」
第23回Wリーグ、11月6日のENEOSサンフラワーズ戦に勝利し、チームとして今シーズン初勝利を挙げたシャンソン化粧品シャンソンVマジックの野口さくらは、試合後、声を弾ませた。
この試合、第1クォーターで32得点を挙げて2桁リードを奪ったシャンソン化粧品は、第2クォーター以降にENEOSの反撃に遭っても、野口、小池遥、水野妃奈乃らの思い切りの良いシュートで対抗。主導権を渡すことなく、最後は80-76でENEOSを振り切った。
「ドライブが得意なのですが、ドライブで切っていったり、合わせのプレーで(ペイントエリアに)切り込んだりなど、そういったプレーを今までは躊躇していたところがありました。でも、李(玉慈)ヘッドコーチからも思い切りやるようにと言われていたし、今日はそれが思い切りできたと思います」と野口は試合を振り返る。
オールラウンドなプレーが持ち味のポイントゲッターは、18得点7リバウンド4スティールをマーク。加えて、193センチの渡嘉敷来夢らENEOSのインサイドプレーヤーたちを相手に体を張ったディフェンスでも奮闘した。
シャンソン化粧品は、開幕から昨シーズン・ベスト4のデンソーアイリス、富士通レッドウェーブと対戦。競った展開の中で昨シーズンの上位チームに黒星をつけることができなかった。
「若いチームなので、負け続けるとやってきたことに、本当にこれでいいのかな? といった空気がどうしても出てしまいます。でも、やることは変わらなくて、それをちゃんと質を高めてやっていかないといけない。ここでENEOSに対して勝てたことは大きく、チームとして一つステップを上がったかなと思います」とは今シーズンより移籍でチームに加入した藤岡麻菜美。1年のブランクを経て現役復帰、ENEOS時代には日本代表でも活躍したポイントガードは、主力に若い選手が多いチームの現状をこう語った。
さらに藤岡は、負けはしたものの、オリンピアンやレベルの高いチームとの対戦はプラスにもなっていると言う。特に「髙田(真希)選手と対戦できたことは、ENEOSの渡嘉敷(来夢)選手に対しての準備にもなったと思います」と語るように、そのビッグマンたちとマッチアップした野口も、「髙田さんとの対戦した経験は大きかったですね」と力を込めた。
ENEOS戦の舞台は愛知県安城市。安城学園高校出身の野口にとっては、慣れ親しんだ土地でもある。
「高校の恩師も見に来ていたので、頑張っている姿を見せないといけないという思いがありました。とても緊張したけれど、全力でできて良かったです」と、恩師たちからパワーをもらった様子。チームの主軸を担う20歳は、今後に向けても「センターと対戦することが多くなるので、コンタクトで負けないように。うまく駆け引きをし、やりながら変化を加えるなど、自分なりに考えながらプレーしていけたらいいなと思います」とさらなる飛躍を誓っていた。
取材・文=田島早苗