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『B MY HERO!』
「出だしから自分たちのバスケットができたと思います。自分の仕事である3ポイントシュートをしっかり狙えたこと、(赤穂)ひまわり選手とのマッチアップだったので、そこでのディフェンスとリバウンドも頑張ろうと思っていました」
3月12日、デンソーアイリスとの一戦を制したENEOSサンフラワーズの奥山理々嘉は、試合後にこう感想を語った。
レギュラーシーズンも終盤に入った第23回Wリーグ。ENEOSはここまでトヨタ自動車アンテロープスに2敗、富士通レッドウェーブとシャンソン化粧品シャンソンVマジックにはそれぞれ1敗を喫していた。プレーオフ進出こそ決めているものの、レギュラーシーズンの順位によってプレーオフの組み合わせも変わるだけに、一つも落としたくない状況。その中で皇后杯決勝と同じ相手であるデンソー戦を迎えた。
髙田真希、赤穂ひまわりら主力がそろうデンソーとは裏腹に、ENEOSは前週の試合でベテランの岡本彩也花が膝のじん帯断裂の大ケガ。加えて林咲希もコンディション調整のために欠場と主軸2人を欠いて臨むことに。
しかし、試合は第1クォーターからENEOSがリードする展開となる。第2クォーターこそ逆転を許して2点ビハインドで前半を終えたものの、後半に入ると、ENEOSは梅沢カディシャ樹奈が連続でリング下のシュートを沈めて逆転に成功。奥山の3ポイントシュートも続き、開始1分を経たずに5点差を付けた。その後も宮崎早織、高田静らで点差を広げたENEOS。第4クォーターでも10点前後のリードをキープしながら試合を進め、最後は81-72で勝利した。
この試合、3ポイントシュート5本を含む27得点を挙げ、殊勲の活躍を見せたのが奥山。中でもチームで35得点を奪った第3クォーターでは、大事な場面での3ポイントシュートが光った。
シュートタッチが特別良かったということはなかったようだが、「タイミング良くいいパスが来たので、自分のリズムで打つことができました」と奥山。
さらには「(インサイドの)タクさん(渡嘉敷来夢)、ジュナさん(梅沢)、ヤシンさん(ロー ヤシン)がしっかりポジションを取ってくれたので、ガードのパスが(センターに)入り、そこから自分たちが合わせてシュートを打つことができました」と試合を振り返った。
「一人ひとりが思い切りよくリングに向かって行ったり、後から出た選手も点数をつなげてたりと、本当にチームがまとまって戦えたと思います」と語る奥山。岡本の長期にわたる戦線離脱や東京オリンピックでも活躍した林が本調子ではないことはチームにとってはピンチの状態ともいえるが、「それは事実です。だけど、残っているメンバーが2人が戻ってくるまでに『みんなで頑張ろう』とまとまっているし、私もチームの勝利のために一生懸命できることをやる。それは全員が思っていると思います」と胸を張った。
「いいパスに対して(シュートを)決めるなど、練習から意識していること、日頃の練習の成果が出せたと思います」(奥山)と言うように、どんな状況でも選手個々が役割を果たし、持てる力を出し切ったENEOS。勝ちへの強い執着心もしっかりとプレーに乗せた。
3年目で高い攻撃力を持つ奥山。期待のオールラウンダーは、デンソー戦の快勝にも浮かれることなく、この先の戦いに向けて気持ちを引き締め直していた。
「(岡本や林が)いつもチームを引っ張ってくれている分、私が試合に出たときは恩返しができるチャンスだと思っているので、一生懸命頑張りたいです」