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『B MY HERO!』
昨シーズン、3シーズンぶりにWリーグ制覇を果たしたENEOSサンフラワーズ。皇后杯では目下10連覇中で、今シーズンも優勝候補の一角である。
今シーズンのENEOSは、指揮官にティム・ルイス氏を招へい。イギリス出身のルイスヘッドコーチは、2013年には日立サンロッカーズ(現サンロッカーズ渋谷)のHC、その後はタイやカタールの男子代表HC、そして2020年から2023年にかけてはNBAのミネソタ・ティンバーウルブズでアシスタントコーチを務めた。その経験豊富な新指揮官の下、チームは、皇后杯、Wリーグの連覇に向けて新たなスタートを切ったのだ。
ルイスHCは現在、ポジションレスでチャンスがあれば誰もが積極的に3ポイントシュートを放つスタイルを掲げている。だが、チームに合流したのが開幕直前ということもあり、まだ完成形には至っておらず、試合を重ねながらスタイルを構築している最中だ。実際、渡嘉敷来夢も「練習のやり方などがこれまでとは変わったので、まだ慣れていないところはあります」と、現状を語る。
そもそもアウトサイドシュートに重きを置いているのには、3ポイントシュートを放てる選手が多いということもあるが、オフェンスの幅を広げ、渡嘉敷だけにならないようにということも理由の一つであると指揮官は言う。したがって、新たに取り入れているスタイルを遂行しつつ、「相手を見ながら時に渡嘉敷や長岡萌映子らのインサイドを生かしていきたいです」と、ルイスHCは今後に向けての思いも語った。
一方、大きな変化に対応中の渡嘉敷は、「自分自身にとってもプラスになることが多いし、ポジティブに捉えてます」と、力を込める。3ポイントシュートを打つチャンスがあれば、打ち切る構えだという彼女だが、それはENEOSだけではなく、世界との戦いもつながると感じている。
「日本代表を考えたら、今のENEOSのバスケットの方がいいと思います。試合ではそんなに打つ機会はないですが、練習ではたくさん3ポイントシュートも打っているので」(渡嘉敷)
今年は、6月末から7月にかけて行われた「FIBA女子アジアカップ2023」でメンバー入りを逃すと、10月の「第19回アジア競技大会(2022/杭州)」も出場はなし。渡嘉敷が日の丸を背負って戦う姿は見ることができていない。
「(映像で)日本代表の試合を見ていて、『出たいな』という思いはありますよ、もちろん。自分より大きい選手、(200センチを越える)中国の選手や海外の選手と対戦できるのは自分にとってすごく魅力的ですから。そういったことを含めても、やっぱり代表に行きたいと思いますし、いつでも行ける準備はしています」
得点にリバウンドと、インサイドでは無類の強さを発揮する渡嘉敷。そして国際大会では得点のみならず、他国の大型選手の攻撃を1人で防ぐことのできるディフェンス力も持ち合わせる。期待されればされるほどそれに応えるプレーを見せるのは、桜花学園高校(愛知県)の頃から変わらない。
ENEOSのため、日本のため。そしてその先にある世界の頂点へ。これからも渡嘉敷は全力で目の前の試合に挑む。
文=田島早苗