2023.07.08

U16女子アジアカップを目前に控えた藪内夏美HC…「ディフェンスがカギ」

「リバウンドやビッグマンに対してしっかり接触して守るのが仕事だと思います」と、攻防において活躍が期待される後藤音羽(浜松開誠館高校2年) [写真]=田島早苗
フリーライター

 7月10日〜16日の期間、ヨルダンにて「FIBAU16女子アジア選手権大会2023」が開催される。

 同大会に向けた直前合宿を行なっているU16女子日本代表藪内夏美ヘッドコーチは、「U16のチームは、3回ほどトライアウトも含めて合宿を行なってきましたが、(最終エントリーの)12人で集まっての合宿は今回が初。それまでの合宿は、合宿の終盤に向けて徐々に元気になっていったのですが、今回の合宿では初日からエネルギー高く、またコーチ陣が盛り上げていい練習を作ってくれています」という。

 その藪内HCの言葉どおり、練習では選手みんなで声を掛け合い、ハードなメニューも明るく笑顔で取り組む様子が見られた。

選手たちが積極的に声を掛け合い、チームづくりも順調 [写真]=田島早苗


 今回のメンバーの最長身は179センチ。180センチ台の選手が不在のため、「ビッグマンがいないので、全員が動かないとチャンスはできないと思っています」と、藪内HC。「少ないセットプレーの中で選択肢をなるべく少なくして、迷いなく思い切りできるようにということを考えています」と、加えた。

 さらに「(トップの日本代表が戦った女子)アジアカップでも課題になったと思うのですが、相手に(動きを)読まれたり、自分たちが崩れてしまったりしたときにどうするのか。そのときにチームとしての共通理解を持てるように心掛けています」とも語った。

 日本が戦ううえでカギとなるのが『ディフェンス』だ。直前合宿でもディフェンス練習には時間を多く割いており、「40分間プレッシャーをかけ続けること。他国の選手は、日本のそういった激しいディフェンスやアップダウンをかなり嫌がるので、そこを一番の武器にと考えています」(藪内HC)という。

 また、フィジカルで劣ることのないようにと、コンタクトにも重きを置いている。そのため、練習でも都度、コンタクトを伴う練習メニューを取り入れ、昨年のU16女子アジアカップやトップの日本代表に他国の同世代の試合などの映像を見て、コンタクトに対する意識も高めてきた。

 前回から2カ月ぶりとなった今回の合宿。前回はまだ高校1年生も入学して間もない時期ではあったが、7月となった今は、それぞれの高校で練習も経験も重ねてきた。「2カ月の間で強くなったし、成長しているなと感じますね」と、藪内HCもたくましくなった選手たちの変化を感じているよう。

「過去2大会連続、決勝では1点差でオーストラリアに負けているので、その『2点』を取り返したいですし、今まで携わってきた方に『やったぜ』という報告もしたいと思っています。何より、16歳で人生一度しかないこの大会に、このメンバーと最高のゲームをしたいと思っています」と、指揮官は大会に懸ける熱い思いも語ってくれた。

「このメンバーと最高のゲームをしたい」と藪内HC [写真]=田島早苗


 なお、「FIBAU19女子バスケットボールワールドカップ2023」が7月15日からスペイン・マドリッドにて開催されるため、こちらでも指揮官を務める藪内HCは、U16女子アジアカップは予選ラウンドまで指揮を執り、その後はスペインへ移動。U16女子アジアカップ自体は、予選ラウンド以降は稲垣愛アシスタントコーチが引き継ぐこととなっている。

 日本はグループBに属し、7月10日の初戦はサモアと対戦。その後、予選ラウンドはニュージーランド戦、中国戦と続く。そして予選ラウンドの結果をもとに、各グループ上位2チームまでが準決勝へと進み、優勝を争う。また、各グループ3、4位は順位決定戦を行う予定だ。上位4チームは来年開催予定の「FIBAU17女子ワールドカップ2024」への出場権獲得となるため、ベスト4はもちろんのこと、日本は2011年大会以来となる優勝を目指す。

取材・文・写真=田島早苗

女子日本代表の関連記事