アメリカへの挑戦…越圭司（GLOBALLERS 5期生）×中山太（サン・クロレラ代表取締役社長）インタビュー

株式会社サン・クロレラによる、NBA選手を日本から輩出することを目的とした中学生年代育成プロジェクト『GLOBALLERS』。その5期生の中からは、越圭司にアメリカ留学に向けた奨学金を出すことを決定した。2025年8月からアメリカ・ネブラスカにあるConcordia Lutheran Schools of Omahaに挑戦をしている越圭司がサン・クロレラの中山太代表取締役社長との対談を通して、これまでのアメリカ挑戦で感じたこと、今後の挑戦に懸ける想いを語った。

取材・写真＝GLOBALLERS

「背の小ささは個性にもなる、彼にしか出来ないプレーがあるはず」

――中山さんに、GLOBALLERSの海外挑戦の部分についてお聞きしたいのですが、アメリカ遠征は今年で4年目となりましたが、アメリカでのGLOBALLERSの活動をどのように評価しておりますでしょうか？

中山社長　まずアメリカ遠征のプログラム自体の成熟度が増してきているという自負があり、初年度と今年では現地での突発的に生じるアクシデントへの対応能力もかなり変わってきていると思います。
今年、選手がクラッチタイムで力を発揮できたのは、スタッフの彼らへのサポートがうまくできていたことも間接的に関連していると思っております。

――中山さんは、GLOBALLERS生の帰国してからの活躍度合いをどのように評価しておりますでしょうか？

中山社長　こちらについては、どこまで我々が貢献出来ているか分からないですが、圭司の代は多くの選手がユースの代表候補に選ばれたし、その他の学年でもBリーグ最年少出場記録を更新したり、1期生の長谷川比源なんかはBリーグでの活躍に加え、Gリーグインターナショナルドラフトで指名を受けたり、各年代のGLOBALLERS生が活躍していることは素直にうれしいです。アメリカの刺激が少なからず寄与しているのではないかと思っております。

――GLOBALLERS奨学生は越圭司選手で3人目となりますが、改めて奨学生に対して期待することを教えてもらえますでしょうか？

中山社長　まずバスケットボールの技術云々の前に、人としての成長を期待しています。大学トップの選手やNBAに入る選手と関わったことがありますが、それらの選手が他の選手と異なる部分は、コーチからの指示の理解度とコートでの実行力だと思っています。こういう面を圭司にも養ってもらい、D1からのオファーにつなげてもらえたら、とてもうれしいですね。

――GLOBALLERSは2年連続で選出となりましたが、それぞれの年でGLOBALLERSプロジェクトに対して感じることや目標としていたことは異なりましたか？

越　1年目は自分が年下という立場でしたが、それでもポイントガードしてチームをけん引出来るよう、積極的にコミュニケーションを図ることを意識しました。2年目は、1年目以上にリーダーとしてチームを引っ張れるように努力しました。チームの一体感を醸成して戦えたことは良かったと思っているし、1年目にはある程度チームとして結果も出たので、それは自分の自信にもつながりましたね。

――GLOBALLERSの国内トライアウト・国内キャンプ・USキャンプを通じて、特に印象に残っているシーンや成長を実感した具体的なシーンはありましたか？

越　2年目のアメリカ遠征の初戦が凄い印象に残っています。あんなに迫力があって激しいバスケットを食らったのは人生で初めてでした。1年目よりも相手を強く感じましたね。こんなにボールに執着心があるんだ、こんなにも勝ちたいという気持ちを前面に出してくるのだと驚きました。一方、その初戦で負けなかったことが自信につながったし、素直にうれしかったです。

――GLOBALLERSのUSキャンプで通用した点・まだ課題だと感じる点があれば率直な感想を教えてほしいです。

越　通用した部分でいうと、スピードはある程度アメリカでも通用したと思います。でもただ単にスピードを100パーセント出すのではなく、うまく緩急を使う必要性を強く感じましたし、課題という面ではフィジカルコンタクトではかなり差を感じましたので、筋力トレーニングは継続して頑張ってます。
　また、アメリカの選手の大きさも気になるけど、そういうのをうまく交わして、シュートを決められたりする時がうれしいので、そこは今後も質を上げていきたいです。シンプルにいうと、フィジカル面での差も自分の特徴であるスピードをうまく使えばアメリカでもやれなくはないと思ってます。

「小さい頃からアメリカの地でバスケットをしたいと思っていたので、夢であるNBAに少しだけでも近づけたかなと思います」

――越選手のUSキャンプをどう見ていましたか？

中山社長　去年は圭司にリーダーとしての役割が求められている中、それを全うしようとする姿勢が見受けられた。圭司の1年目はどちらかというと、もっとガムシャラにやっていた印象で、2年目はリーダーとしての役割や責任がプレッシャーにもなっていた印象で、圭司本来の力を出しきれていたかというと少し疑問に感じる部分も正直あります。

――越選手の人間性としての成長はどのように見えた？

中山社長　コート上での彼のリーダーとしての素質はGLOBALLERSに参加した最初のトライアウトから見受けられました。それに加えて、アメリカでの戦いで見受けられたのは、(彼のスピードだけでは通用しない)日本にはないフィジカル面での差を感じた時に彼の中で試行錯誤して、考えて工夫して打破しようとする姿勢です。
これは私の推測ですが、アメリカで色々と考えさせられたことにより、結果的に考える力が養われ、帰国してからの色々な大会での活躍につながったのではないかなと思ってます。

――越選手自身もアメリカから帰ってきて、新たに工夫したこととかはありますか？

越　日本でもスピードの緩急をうまく使うと楽に抜けることが分かったし、試合に臨む姿勢という意味では、絶対に勝つんだという気持ちをもっともっと前面に押し出すようになった。それがジュニアウィンターで優勝候補であった四日市メリノール学院を倒せたことにつながったのではないかと思っている。
プレー面では、シュートチャンスが少しでもあったら自信を持ってどんどん打つ。例え外そうとも強気で打っていく、打ち切って終わることを意識してます。セルフィッシュにはなってはいけないが、打てる部分では強気で打ってますね。

――GLOBALLERS5期生の奨学生として、越選手を選出した理由を教えてください

中山社長　先ほど彼がシュートを積極的に打っていくと言っていたが、これはそこまで簡単ではないと思っており、というのも日本の指導者の中にはこのような姿勢を良しとしない人もいるのではないかと思います。それでも、アメリカでの経験から自分の頭で考え、コート上で表現している。この彼の内面部分が選出した理由かもしれません。
　彼の考える能力・表現する能力はアメリカでも求められる能力のはずだと思ってます。チームの役割を適切に理解し、コートで表現できるというのはアメリカのチームでも重宝されるはず。

――GLOBALLERSの奨学生に選ばれたと聞いた時の率直な感想を教えてください

越　小さい頃からアメリカの地でバスケットをしたいと思っていたので、素直にうれしかったし、夢であるNBAに少しだけでも近づけたかなと思います。

――この8月からConcordiaに通われると思いますが、どんな高校バスケット生活を過ごしたいか、目標や学びたいことを教えて欲しいです。

越　人間性としては、日本人らしく謙虚にでも泥臭く戦う姿勢は周りに見てほしいですし、結果では正ポイントガードとして州NO.1ガードになりたい。楽しみな気持ちの方が大きいですね。

――越選手に高校3年間でどのようなことを学んできてほしいですか？

中山社長　人としても、バスケット選手としてもアメリカで認められる人材になってほしいですね。やはり最初はマイノリティな存在であり、馴染むのが難しい部分もあるとは思うけど、その壁を乗り越えたら、その後からは彼は追い風しかないと思う。選手としては、例えポイントガードであっても得点できるというのは絶対に必要なスキルなので、更に磨いていってほしいですね。

――越選手が、最近アメリカ挑戦に向けて実はトレーニングしていることとかあったりしますか？

越　高い身長の選手がブロックに来たとしても、それを飛び越えられるフローターシュート・レイアップを意識して練習しているし、ディープスリーも練習しています。
ディープスリーは得意な方なんですけど、ディープスリーの時はシュートモーションが遅いので、これだとアメリカではチェックが来て止められてしまうと思っており、ディープスリーでもクイックで打てるように練習しています。ステフィン・カリーを参考にしていますね。

――GLOBALLERSに参加してからは、サン・クロレラを継続的に飲んでいると思いますが、飲む頻度やタイミングとどのような効果を日々感じるか教えてください

越　朝と寝る前に飲んでます。足が軽い感じがして、練習のパフォーマンスが良くなっている感じがしますね。後、練習後の疲労の回復も早い気がして、今では欠かせないアイテムの一つです。

――最後にエールをお願いします

中山社長　彼の背の小ささは個性にもなるはず。彼にしかできないプレーがあるはず、アメリカの地でそれを見つけ出してほしいと思ってます。