1時間前

欧州バスケ二分の危機…ユーロリーグが拒否も、NBAは2027年の新リーグ設立へ姿勢崩さず

昨シーズンはロンドンでNBAのレギュラーシーズン試合が開催された [写真]=Getty Images
バスケ情報専門サイト

 欧州バスケットボールの勢力図を根本から変える可能性を秘めた「NBA Europe(NBAヨーロッパ)」構想が、大きな分岐点を迎えている。

 EuroLeague(ユーロリーグ)の13の株主クラブは10月7日(現地時間6日)、イタリア・コモ湖畔で開いた会合で、NBAから提示された共同大会に向けた提案を拒否した。一方で、NBAとFIBAは9日(同8日)、「新たな男子プロリーグの設立を前進させる」と共同声明を発表。ユーロリーグとの合意が成立しなくても、NBAヨーロッパ設立は前進するという姿勢を改めて明確にした。

 いまだに両者の距離が縮まらない最大の障壁は、金銭と主導権の問題にある。

『BasketNews』によれば、NBAの最新提案は初期案から大幅に改善されていた。しかし、ユーロリーグ側はNBAへ大会運営の過半数の支配権を渡す対価として提示された条件や、長期的な収益見通しに十分な魅力を感じなかったと言う。また、『ESPN』もユーロリーグ側が「自分たちの価値を過小評価されている」と考えていると報じている。

 これについては、『Front Office Sports』が詳細を伝えている。

 ユーロリーグ側は、提携・統合交渉において30億ドル(約4740億7500万円)規模の評価額を求めている。ところが、NBAの初回提案はこの30億ドルを大幅に下回るものだった。

 また、金額以上に強い嫌悪感を示したのは、ユーロリーグの拡張計画を一時停止するような要求が含まれていたことだった。現在、ユーロリーグは20クラブで構成されており、2027-28シーズンまでに最大24クラブへ拡張する計画を進めている。NBAがこれらの動きを牽制した理由は、ロンドン、ローマ、ナポリなど両者が狙っている市場が重複しているからにほかならない。ユーロリーグの一部関係者は、NBA側の提案を“植民地主義的”と考えており、「力による主導権奪取のように感じられた」と説明している。

 だが、NBAはユーロリーグとの協業がかなわなくても、計画を推進する構えを維持している。

 NBAヨーロッパの主導者の1人、ジョージ・アイバゾグルーは、今週「Leaders Week London」に登壇し、NBAヨーロッパの将来について語るなかで、現在のユーロリーグの構造を批判した。同氏は現在のユーロリーグについて「国内リーグで優勝してもユーロリーグへ出場できないクラブがある一方、国内で低迷していてもユーロリーグに残れる」とし、その仕組みに疑問を呈している。

 同時に「我々は来年の(NBAヨーロッパの)開幕に向けた計画を前へ進めています」と、スケジュールに変更はない旨を強調。一方で「将来に対する我々のビジョンを共有するすべての人たちと協力していくという意思について、我々は非常に真剣であり、一貫しています」と付け加え、引き続きユーロリーグ側とは会話を続けていくことを示唆した。

『ESPN』もユーロリーグのNBAに対する提案拒否が決裂を意味するものではないとしている。ユーロリーグ側は対案を準備して数週間以内に再び協議へ戻る見込みで、NBA側も条件改善の余地を残している。

 NBAの目標は、現在も2027年10月から変更はない。NBAヨーロッパはすでに12の対象都市で参入候補を募集しており、ユーロリーグ所属クラブも含め、20を超える既存のバスケットボールクラブ、サッカークラブが関心を示していると言う。

 ただし、時間は差し迫っている。ユーロリーグとの合意が成立すれば、NBAは既存クラブ、アリーナ、ファン層を一気に取り込めるが、完全に別リーグとしてゼロから立ち上げる場合、メディアは開幕が2028年にずれ込む可能性もあると予想する。

 それでもNBAは止まらない。ユーロリーグも譲歩はしない。リーグ間の欧州における主導権争いは、交渉という形でさらなる激化が見込まれる。

文=Meiji