2019.10.02

昨季の覇者ラプターズの指揮官「レナードが抜けた分の穴は埋めることができたと思う」

ディフェンディング・チャンピオンとして迎える今季について語ったナースHC[写真]=Getty Images
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「若い選手たちにとってすごくいい機会になるでしょう」とニック・ナースHC

 10月2日、トロント・ラプターズのニック・ナースHC(ヘッドコーチ)が、8日と10日に行われるヒューストン・ロケッツとのNBAジャパンゲームズを前に、日本のメディアと合同電話インタビューを行った。

 一昨季までの5シーズン、ドウェイン・ケイシーHC(現デトロイト・ピストンズHC)の下でアシスタントコーチ(AC)を務めてきたナースHCは、就任1年目となった昨季、ラプターズを創設24シーズン目にしてフランチャイズ史上初の優勝へと導いた。

 昨季のプレーオフについて、ナースHCは「イースタン・カンファレンス・ファイナルへ勝ち進んだ時点から、カナダは国をあげて応援してくれました」と口にし、「この夏、いろんな人と会いましたが、バスケットボールをこれまで見たことがなかったような人たちから『テレビにくぎ付けになっていました』と言われることが多かった。記憶に残る優勝だったのかなと思います」と昨季の優勝について振り返る。

 今季はディフェンディング・チャンピオンとして臨むラプターズだが、ファイナルMVPのカワイ・レナードがロサンゼルス・クリッパーズ、ダニー・グリーンがロサンゼルス・レイカーズへ移籍したことで、昨季スターターを務めた2選手が移籍。

 先日行われたメディアデーで、大黒柱のマルク・ガソルは「今季のラプターズを1つの単語で言い表すとすれば、“ハングリー”なチームだと思う」と口にしており、昨季とは異なる状況の中で迎えることとなる。

 では、指揮官は今季のチームについてどう見ているのだろうか。ナースHCにも同様の質問をしてみると、このような答えが返ってきた。

「オポチュニティー(機会、チャンス)ですね。非常にいい選手たちがそろっているんですけど、中でも若い選手たちにとってはすごくいい機会になるんじゃないかと思っています。今までなら、ほかの選手がいてできなかったことができるようになり、役割が広がっていくことでいろんなことができるようになると見ています」。

今季ラプターズのエースとして活躍が期待されているシアカム[写真]=Getty Images

オフェンスはシアカム、ディフェンスではアヌノビーをキーマンに挙げる

 そんなラプターズにおいて、今季オフェンス面とディフェンス面でそれぞれカギになる選手としてナースHCが挙げたのは、パスカル・シアカム(オフェンス)とOG・アヌノビー(ディフェンス)だった。

「オフェンスでは昨季のMIP(最優秀躍進選手賞)、パスカル・シアカムですね。カワイやグリーンがいなくなったことによって、オフェンスの機会が当然増えることになると思うんで、ステップアップすることが期待されています。ディフェンスに関しては、昨季もチームにいたアヌノビーです。一昨季、ルーキーとして非常に良かったんですけど、昨季はケガの影響とかもあって出たり出なかったりでした。ですが今季は非常にコンディションもよく、準備できているので、彼のディフェンスを期待しています」。

ディフェンス面におけるキーマンとしてナースHCが挙げたアヌノビー(左)[写真]=Getty Images

 特にディフェンスに関しては「昨季優勝できた理由は、やはりディフェンスをしっかりできたこと」とナースHCが明かしたように、今季のラプターズが成功を収めるうえで不可欠な要素となる。

「今シーズンはアヌノビーが戻ってくるのもありますし、(ノーマン・)パウエルもステップアップしてくれるでしょう。それに昨季ケガで(レギュラーシーズン終盤からプレーオフ期間にかけて)戦線離脱してしまったパトリック・マコーもいます。そういった選手たちと、新しく加えた選手たちの中にも、最後までやり抜く力を持ったディフェンダーがいるので、そこは今季も変わらず、優先順位として高く保っていきたいと思っています」とナースHCは言う。

 また、AC時代から見てきたカイル・ラウリーについて「彼はもともと、このチームのリーダーでした。(昨季優勝したことで)その成熟度が増したと思っています。感情のコントロールやコート上のコーチという役割をしっかりとこなしてくれています。オフェンスでもディフェンスでも、チームのプランをしっかり遂行させるようにする、リーダーシップ面における成長がすごく見られます」と大きな信頼を寄せている。

ナースHCがチームのリーダーとして全幅の信頼を寄せるラウリー[写真]=Getty Images

指揮官は昨季チャンスが回ってこなかった選手たちのステップアップに期待

 レナードとグリーンが退団した中、ラプターズはスタンリー・ジョンソンやロンデイ・ホリス・ジェファーソン、キャメロン・ペインといった新戦力をロースターに加えた。ケガや昨季不振に終わった選手たちが戻ってくることをふまえて、ナースHCは「(彼らが抜けた)穴は埋められたんじゃないかなと思っています」と語り、このように続けた。

「カワイやグリーンがいたことによって、チャンスが回ってこなかった選手たちもいましたので、彼らがステップアップすることによって、当然埋められる穴というのもあります。昨季はカワイ不在の試合が22試合あったんですけど、それでもしっかりと結果(17勝5敗)を残していましたので、自信を持っています。ディフェンスに関しては、昨季以上にいいディフェンスを作れるんじゃないかな、という自信も持っています。得点面をどうカバーするかですけども、スター選手がいなくなった分を周囲の選手たちがしっかりとシェアする。あとは昨季オフェンスであまり対応していなかったガソルにもしっかりやってもらうなど、アイデアはいろいろと必要になってきますし、試していく必要があると思うんですけど、自信はあります」。

ラプターズ在籍2シーズン目を迎えるガソル[写真]=Getty Images

 ラプターズのプレシーズンゲームは4試合組まれているのだが、初戦は8日のジャパンゲームズ(対ロケッツ)となる。新加入選手が多いものの、ナースHCは今季のチームが重視すること、目指すことをしっかりと把握していたことが印象的だった。

 昨季の覇者ラプターズは、現有戦力を最大限に活用し、2連覇を目指して今季に臨む。その初戦がここ日本で行われるだけに、約16年ぶりとなるジャパンゲームズは要注目となるはずだ。

文=秋山裕之

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