2020.05.11

クリッパーズのドック・リバースHCが『ザ・ラストダンス』で気に入らない部分とは?

1980年代中盤から90年代中盤まで、ポイントガードとしてプレーしたリバース[写真]=Getty Images
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「アイザイア トーマスはシカゴ出身の選手として史上最高の選手だと思う」

 シカゴ・ブルズが最後に優勝を飾った1997-98シーズンを追跡したドキュメンタリー『ザ・ラストダンス』は5月11日(現地時間10日、日付は以下同)に第7、8話が公開された。

 このドキュメンタリー内では、マイケル・ジョーダンやスコッティ・ピペン(共に元ブルズほか)、デニス・ロッドマン(元デトロイト・ピストンズほか)、フィル・ジャクソンHC(ヘッドコーチ)といった当時の主要メンバーのエピソードと共に、91年から93年までに達成した90年代前期3連覇までの道のりも描かれている。

司令塔兼スコアラーとして、ブルズを苦しめたトーマス[写真]=Getty Images

 そんな中、5月9日に『The Athletic』へ掲載された記事の中で、ロサンゼルス・クリッパーズのドック・リバースHCはこの『ザ・ラストダンス』における気に入らない点を口にしていた。

「私はアイザイアがああいうふうに描かれている点が気に入らないね。アイザイアは断固として勝者だ…。他の勝者たちと何も変わりない。これは私の意見なのだが、彼はシカゴ出身の選手として史上最高の選手なんだ。マイケルがシカゴでプレーした最も偉大な選手となったことで、競争に発展してしまったんだろう。皆はあまり知らないと思う。デトロイトのパートとシカゴのパートがあるけど、あくまで主役はブルズであり、シカゴが最も大きな部分だ。でもアイザイアはデトロイトでプレーしていた時でさえもシカゴに住んでおり、アイザイア トーマスでありたかった。故郷に帰って、マイケル・ジョーダンについて聞きたくはなかったはずだ」。

 リバースHCが語ったアイザイアとは、1980年代後半からプレーオフで何度もジョーダン率いるブルズを下してきたピストンズのリーダー、アイザイア トーマス。91年のカンファレンス・ファイナルで4連敗を食らい、試合終了を前にロッカールームへと下がったことで批判を浴びてきたことは否定できない。だがリバースHCが指摘したように、キャリアの中で数多くの勝利を手にしており、歴代有数のポイントガードなのは間違いない。

 キャリア13年のうち、オールスターに12度選出され、そのうち2度MVPに輝いたトーマスは生粋の司令塔。キャリア平均19.2得点9.3アシスト1.9スティールを残し、オールNBAチームに5度選ばれた男は、89、90年のピストンズ2連覇に大きく貢献。90年にはファイナルMVPにも輝いた。

「私のヒーローはアイザイア トーマスだった」とスティーブ・ナッシュが発言

 『ザ・ラストダンス』において、トーマス率いるピストンズはあくまで敵役。だが80年代中盤にNBA入りし、ポイントガードとしてプレーしてきたリバースはトーマスと何度も対戦してきた好敵手の1人。

 5月8日にYouTubeへ公開された『ALL THE SMOKE』にゲスト出演したスティーブ・ナッシュ(元フェニックス・サンズほか)も「私のヒーローはアイザイア トーマスだった。できるだけ真似したいと思っていたんだ。彼はすべてを持ち合わせていたけど、ジャンプして人を跳び越えることはなかった。それを観て『よし、僕でも真似することができる選手がいるんだ』って思ったんだ。彼は機敏なだけじゃなく、スキルを有効に使っていたし、クリエイティビティと生まれつきの競争心があった。それに、彼が秘めていた闘志は信じられないものだった」と話している。

 イリノイ州シカゴ出身の選手としては、トーマスのほかにドウェイン・ウェイド(元マイアミ・ヒートほか)やモーリス・チークス(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)、デリック・ローズ(ピストンズ)、アンソニー・デイビス(ロサンゼルス・レイカーズ)といった大物がいるものの、トーマスは間違いなくトップレベルに入る選手だろう。

1980年代を代表するポイントガードとしてリーグに君臨したトーマス[写真]=Getty Images

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