2021.01.14
ヒューストン・ロケッツとの関係悪化が騒がれて以降、トレードの噂が絶えないジェームズ・ハーデン。キャンプに姿を見せないかと思うと、まさかのラスベガスでパーティーに参加と、チームに対する明らかな“敵意”には非難が相次いだ。
しかし、チームに合流するや否や、これみよがしに実力を誇示。開幕後の平均スタッツは29.4得点(リーグ3位)、10.8アシスト(リーグ3位)。少なく見積もっても1試合で50得点以上に関与しており、コート上の存在感はリーグNo.1といっても過言ではない。
そうしたなかで、ハーデンのトレードの噂は一旦白紙に戻ったのかもしれない。当初、ハーデンがトレードを要求する理由のひとつには、ヘッドコーチの人選にあったと噂されている。だが、ヒューストンの背番号13は、一緒に働くなかで評価を改めたのだろうか、今年に入って手のひらを返したかのように新HCのスティーブン・サイラスを賞賛。特に、ハーデンがボールを保持していない時間での戦術には一定の満足感を示している。
「コーチは、オフ・ザ・ボールのセットアップでいい仕事をしてくれている。俺を(従来とは)異なるポジションに置いている。常にバスケットボールを保持しているわけではなく、ボールを手放し、スコアリングできるポジションにいる感じだ。最初の試合ではチーム全体でそれが実行できた。俺たちはこれから映像をチェックして、もっとよくなると思う」
James Harden on setting up off-ball: "Coach [Stephen Silas] does a good job of that. Putting me in [different] positions. Not always on the basketball, but off the ball and scoring positions….First game with all of us together. We will watch film and get better." #Rockets
— Alykhan Bijani (@Rockets_Insider) January 1, 2021
確かに、ハーデンのプレーには昨季までと比較して大きな変化が見られた。これまでの基本的なオフェンスプランは、ハーデンがボールをコントロールして味方にスクリーンをかけさせ、得意のステップバックやドライブからのパスアウトで得点を演出するというものだった。しかし、例えば元旦に行われたサクラメント・キングスとの一戦では、公式戦初共演となった新加入のジョン・ウォールにポイントガードを任せ、ハーデンはシューティングガードの職を全うする時間帯も多かったように思える。まだまだ未完成のデュオではあるが、映像では両者が積極的にコミュニケーションを取るシーンも見受けられ、ハーデンが言うように、ロケッツのケミストリー完成までにはまだまだ伸び代があるのではないだろうか。
そして、サイラスHCも先月中旬、ハーデンに対する世間の批判を一蹴するかのように、同選手の姿勢を賞賛するコメントを残している。
「私たち(サイラスとハーデン)は、いい会話ができている。彼は集中していたし、いい質問をしてくれて、いい指摘もくれた。とてもいいディスカッションだったと思う。私はバスケットボールのコーチであり、彼は選手だ。だから、我々はバスケットの話しをする。彼は確かにそこにいて、バスケットボールにコミットしていたよ」
数々のチームでアシスタントを務めてきたサイラスは、過去にヘッドコーチとしてのキャリアはないものの、コーチとしては非常に人望の厚い人物である。2000年にスタートしたコーチキャリアに空白の時間はなく、クリーブランド・キャバリアーズではデビューからまもないレブロン・ジェームズを教え、ゴールデンステイト・ウォリアーズではステフィン・カリー、ダラス・マーベリックスではルカ・ドンチッチなど、リーグトップクラスのポイントガードも指導してきた。20年間のアシスタントキャリアで培った経験と知識については言うまでもなく、2番手のコーチとして選手と関係を構築する人心掌握術についてさまざまな学びがあったことは容易に推測がつくだろう。
もしかすると、サイラスはすでにスターにして問題児のハーデンを手懐けているのかもしれない。もしそうだった場合、ヒューストンファンはエース放出の不安に駆られるとこなく、安心してコート上のプレーを楽しめるはずだ。
文=Meiji
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