2021.09.22

NBAがMLBのフィールド・オブ・ドリームスの成功を受け、屋外ゲームの開催を検討

2008年のプレシーズンゲームで屋外で開催された実績があるが…[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 MLB(メジャーリーグベースボール)は先月中旬、1989年公開の映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となったアイオア州ダイアーズビルに屋外球場を建設し、シカゴ・ホワイトソックス対ニューヨーク・ヤンキースのナイトゲームを開催した。辺り一面をトウモロコシ畑に囲まれた幻想的なスタジアムには、映画で主演を務めた俳優のケビン・コスナーも登場。試合はホームランが行き交う大熱戦となり、映画顔負けのドラマチックな展開に、8000人の観衆は湧き上がった。

 この試合はテレビやストリーミングサービスを含め、視聴者が590万人超え、レギュラーシーズンの試合では2005年以来最高の視聴者数を獲得。このMLBの大成功を受けて、NBAもフィールド・オブ・ドリームス形式の屋外ゲーム開催を検討しているという。

『バスケットボールの特性』という最大の懸念点

 NBAのバスケットボール戦略分析部門で業務執行副部長を務めるエヴァン・ウォッシ氏は、Podcastチャンネル『The Crossover』で、リーグが屋外イベント開催の可能性を模索していることを明らかにした。

「最大の懸念点は、バスケットボールの特性にある。アスファルトだと怪我の心配、はたまた屋外の木製コートは湿度や雨の影響など、それらすべてを考慮しなければいけません。我々はそれらを検討し、今後も話し合いを続けていく所存です」

「(MLBの)フィールド・オブ・ドリームスが、信じられないほどの大成功を収めたのは明らかです。だからこそ、議論されるのは当然のことで、検討の価値はあると考えています。しかし、バスケットボールの試合を屋外で行う場合の物理的弊害は、野球の試合よりも遥かに大きいのです」

 確かに、屋内スポーツのバスケットボールを屋外で開催するには、多くのハードルを乗り越えなければならない。ただし、NBAにも実例がないわけではない。2008年のプレシーズンゲームで、フェニックス・サンズとデンバー・ナゲッツが屋外ゲームを開催。この試合にはシャキール・オニールやスティーブ・ナッシュ、JR・スミス、ケニオン・マーティンらが出場し、カーメロ・アンソニーもコートサイドからその様子を見守っていた。

 また、NCAAも2010年初頭に空母の艦上に仮設コートを設置し、屋外ゲームを開催。「キャリア・クラシック」と呼ばれるこの試合は、バラク・オバマ元大統領とミシェル夫人のほか、マジック・ジョンソンやビンス・カーターも訪れ、当時大学生だったハリソン・バーンズドレイモンド・グリーンが参加している。

NCAAでは2011年、空母の艦上にコートを設置し、試合を開催した[写真]=Getty Images


 NBAがフィールド・オブ・ドリームス形式の試合を開催するとなれば、ストリートバスケの聖地として名高いラッカーパークや、過去にはケビン・デュラントデマー・デローザンが参加した屋外トーナメント「ダイクマン」の開催地であるダイクマン・パークなどが真っ先に思い浮かぶ。もし、ニューヨークのストリートコートでニューヨーク・ニックス対ブルックリン・ネッツのダービーが実現すれば間違いなく、後世に語り継がれる伝説の一戦となるだろう。

 果たして、“コート・オブ・ドリームス”は実現するのだろうか。

 文=Meiji

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