2022.01.07

ケビン・ポーターJr.に対する解説者の不適切発言が大炎上…当事者は認識の誤りを陳謝

ウィザーズ戦で決勝ブザービーターを決めたケビン・ポーターJr.[写真]=Getty Images

 先日、アシスタントコーチとの激しい衝突が報じられたばかりの問題児、ケビン・ポーターJr.ヒューストン・ロケッツ)。ハーフタイムに帰宅し、チームからは出場停止処分を受けていたが、1月6日(現地時間5日、日付は以下同)に開催されたワシントン・ウィザーズとの一戦では汚名返上の決勝ブザービーターを沈め、最下位に沈むチームに貴重な白星をプレゼントした。

 この試合を解説していたNBCスポーツ・ワシントン放送のアナリスト、グレン・コンサーは、同選手の値千金弾を受けて「彼は評価に値する。ケビン・ポーターJr.は父親のように、最高のタイミングで引き金を引いた」とコメント。しかし、一見何の変哲もないこのコンサーの発言に対して各所から非難が殺到し、大炎上の事態に発展している。

『USA TODAY』によると、同選手の父、ブライアン・ケビン・ポーターSr.は、1993年に当時14歳の少女を射殺し、第一級過失致死罪の罪で懲役4年半の実刑判決を宣告されている。また、背番号3がまだ4歳だった2004年、ポーターSr.はサウスシアトルのバーで射殺され、命を落としている。

 すなわち、このような過去を持つポーターJr.にとって、拳銃を彷彿とさせる言葉はタブー以外の何物でもなく、コンサーの発言は決して許されるものではなかった。これにはレブロン・ジェームズも「まさか、この発言をクールだと思ったのか? 信じられない。なんて無神経なヤツだ。消え失せてくれ! 俺たちの美しいゲームに、お前の居場所はない」と、怒りを抑えきれない様子だった。

 しかし、炎上からまもなく、コンサーは自身の発言を陳謝。失言の原因は、ポーターJr.の父親をかつてデトロイト・ピストンズやワシントン・ブレッツ(現ウィザーズ)で活躍し、4度のアシスト王に輝いたケビン・ポーターと勘違いしていたためだった。

「昨夜の試合中に私が発したコメントにつきまして、ケビン・ポーターJr.選手、彼の家族、そしてロケッツの皆様に心からお詫び申し上げます。私は、ケビンが元ワシントン州の選手であるケビン・ポーターの息子であると勘違いしており、彼の決勝点を表現するために選んだ言葉が人を傷つける無神経なものだとは思っておりませんでした。お詫びをするべくケビンに連絡をし、すぐにでも彼に謝罪する所存です」

 ポーターJr.が父のことを大切に思っていることを知るNBAファンは、今回の一件をより重く捉えているだろう。同選手は大学在籍時、父親へのトリビュートとして背番号4を着用していた。また、自身が指名された2019年のNBAドラフトでは、ジャケットの裏地に家族との思い出の写真をプリントしている。

 なお、コンサーのTwitterには彼のミスを擁護する一方、「リサーチも大切な仕事である」など、プロ意識の低さを責めるコメントも少なくない。ただし、コンサーはNBAで20年以上のキャリアを持つ信頼の厚いアナリストで、常に若手選手の成功を願ってきた。そうした経歴を考慮し、今回の一件が不注意による過失であったことを切に願うばかりだ。

 文=Meiji