2023.01.26
トレードの噂が浮上してからまもなく、八村塁はワシントン・ウィザーズからロサンゼルス・レイカーズへの移籍が完了した。早速、新天地となる西海岸へと飛び立ち、本拠地のクリプト・ドットコム・アリーナでワークアウトを実施。すでに球団のロブ・ペリンカジェネラルマネージャーとの記者会見も終えており、レイカーズの公式SNSでは「皆さんに会えることを楽しみにしています。レッツ・ゴー、レイカーズ!」とメッセージを発信した。
Rui with the shoutout to the fans in English and Japanese! 🇺🇸🤝🇯🇵 pic.twitter.com/sm9Tqx4vV5
— Los Angeles Lakers (@Lakers) January 25, 2023
八村の移籍には、メディアも大きな注目を寄せている。もちろん『Yahoo! Sports』も例外ではなく、シニアレポーターのジェイク・フィッシャー氏は自身の記事で今回のトレードにおける両球団の思惑を分析した。
ウィザーズは八村と引き換えに、ケンドリック・ナンと3つのドラフト2巡目指名権を手に入れた。しかし、情報筋によるとウィザーズは当初、関心を示す球団に1巡目指名権を要求していたという。2019年のNBAドラフトで9位指名の八村には、24歳のポテンシャルと将来性、今夏の制限付きFAの権利に大きな魅力があると考えていたようだ。
しかし、トレード交渉とは“ビジネス”であり、これはヒューストン・ロケッツがエリック・ゴードンに、デトロイト・ピストンズがボヤン・ボグダノビッチにそれぞれ1巡目指名権を求めていることと同様の意向。一方の買い手側のオーナーは2巡目指名権を手札に会話を進めたがるため、球団間には常にギャップが存在する。最終的にウィザーズは交渉をまとめることを優先し、実現可能なパッケージでレイカーズとの合意に至った。
レイカーズにとっては複数の2巡目指名権とセカンドユニットのガードで交渉をまとめられたため、目標は達成されたと考えていいだろう。17度の優勝歴を誇る名門は、正統派のポイントガードが不在のため、ドリブルから得点できる八村の加入はプラスだ。また、八村はフォワード陣に欠けていたサイズと、慢性的に不足していたアウトサイドシュートでもフロントコートにインパクトをもたらすことが期待されている。
レイカーズは今夏に八村と再契約するつもりなく、取引に踏み切ることはなかったはずだ。ただし、レブロン・ジェームズやアンソニー・デイビスといったリーグでも屈指の高給取りを抱えるレイカーズには、繊細なサラリーキャップ計算が求められている。
八村には1880万ドル(約24億5000万円)のキャップヒットがあり、レイカーズは成長著しいオースティン・リーブスとの再契約も必須。フィッシャー氏は、八村の現時点での年俸を1000万ドル(約13億円)と見込んでいるものの、もし八村がレイカーズの2枚看板に続く3番手として台頭し、チーム内で存在感を発揮すれば、平均年俸2000万ドル(約26億1000万円)近くまで価値を伸ばす可能性を指摘した。このようなポテンシャルを加味すると、3つのドラフト2巡目指名権放出が必ずしも得策だったとは言い難くなる。
一方、ウィザーズはデニ・アヴディアやコーリー・キスパートといった若手の有望株も多く控えているが、八村の放出はカイル・クーズマとの再契約に向けて本腰を入れたことの表れと見て取れる。ウィザーズは2022年夏、絶対的エースのブラッドリー・ビールと5年2億5100万ドル(約330億円)の超大型契約を締結。さらに、ビッグマンのクリスタプス・ポルジンギスもプレーヤーオプションを破棄して、ウィザーズと長期契約を望んでいると言われており、フロントも新生“ビッグ3”の継続を望むのであれば、八村のトレードは致し方なかったのだろう。
はたして、レイカーズとウィザーズにとって、このトレードがどのように作用するのだろうか。
文=Meiji
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