2023.05.29
ブルックリン・ネッツでNBA5シーズン目を終えた渡邊雄太が4月28日、オンラインでの囲み取材に応じた。
27日の夜に帰国したという渡邊は「今シーズンも大きなケガをすることなく、終えることができました。過去の4年間に比べて、この5年目が間違いなくベストシーズンだったと思っています。大きく成長できたと感じられて、自分にとって中身の濃い、いいシーズンだったと思います」と振り返り、「もちろん、満足していませんし、もっともっと上を目指していきます」とも語った。
今シーズンは開幕前にネッツと無保証のトレーニングキャンプ契約を締結。「あの段階でチームにいられるかわかりませんでした。部屋を借りることもできなかったので、ホテルの小さい部屋で2カ月ほど、『この先はどうなるんだろう』という不安と戦いながら過ごしていました」。ただ、プレシーズンのアピールに成功してロスター入りを勝ち取った。
「トレーニングキャンプで自分のパフォーマンスはいいと思っていました。波がありながらも手応えがあり、今までの経験が活きていると感じました。このチームで自分の居場所が見つけられるとも感じていました」
開幕直後は指揮官の交代があったものの、ケビン・デュラント(現フェニックス・サンズ)やカイリー・アービング(現ダラス・マーベリックス)とともにコートに立ち、ディフェンスや3ポイントシュートで勝利に貢献。11月は一時50パーセント超えの3ポイント成功率を記録した。
「意識していたのは自分の役割に徹すること。今シーズンに限らず今までのシーズンもそうでした。自分にできないことはできないから無理にやろうとしない。周りには何でもできる選手がいたので、自分は自分にできることを徹底しようと思っていました。ディフェンスでエナジーを出して常に全力でプレーすること。相手のディフェンスがKDやカイリーに集まるので、オフェンスでは自分が空いたら打っていこうと意識していました」
ベンチから自身の役割を果たし、勝敗を左右する試合終盤にもスーパースターとともに出場。「幸せな時間」を過ごしていたが、2人はシーズン中にトレードでネッツを去り、チームは様変わりした。渡邊と同じプレースタイルの選手が増え、徐々に出場機会が減少。ただ、「トレードはあったことは正直しょうがない。たらればを言ってもしょうがないです」とNBAの現実を受け止め、メンフィス・グリズリーズ、トロント・ラプターズ在籍時と同じように準備し続けた。
「トレードで加入した選手ともすぐに打ち解けました。いい選手ばかりでしたから。彼らとプレーするのも楽しかったです。自分のプレータイムが減ったのは、あれだけウィングの選手が来たのでしょうがないなと。トレード前は活躍できていたので、これはこれでしょうがないと割り切って。過去4年間は試合に出られない時間が多かったので、『今までと同じことをやり続けよう』とすぐに気持ちを切り替えて、試合に出る機会がくるかもしれないから常に準備を怠らないようにしようと心掛けて生活していました」
チームはイースタン・カンファレンス6位で「NBAプレーオフ2023」に進出したものの、フィラデルフィア・セブンティシクサーズを相手に4連敗。渡邊は1試合の出場、4分43秒のプレータイムにとどまった。「(昨シーズンは)自分はこの舞台に立つ力が足りない」と感じていたポストシーズンだが、「今シーズンはいつでもいける準備ができていました。自分のわがままは言えませんけど、ここで自分を出してもらえたらという場面がいくつもありました」とコメント。「自分の力が足りていないから出られない」と自身の現状を捉え、「次はあそこに出て、活躍してチームを勝たせられる存在になりたいと強く思いました」と意気込んだ。
8月下旬からは「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」が開催される。フリーエージェントになるため、新たな所属先を探す必要があるが、「自分としては出るつもりで、そこに向けて体を作っていきたいです。日本の皆さんの前でプレーする機会がなかなかないので、すごく楽しみにしています」と話した。
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