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ニューヨーク・ニックスは、球団の機密情報を不正入手および開示したとして、トロント・ラプターズおよび同球団組織に所属するメンバー、ならびに元ニックス従業員に対して訴訟を起こしたようだ。『ESPN』によると、この訴えはすでに、ニューヨークのダニエル・パトリック・モイニハン連邦裁判所に提出されているという。
この事件のカギを握るのは、アイク・アゾタム氏という人物だ。同氏は、2020年から2023年まで、アシスタントビデオコーディネーターや、プレーヤー・ディベロップメントのアシスタントディレクターとしてニックスに在籍。そして、2023年夏にラプターズから勧誘を受けたのち、ラプターズに対してプレー頻度に関するレポート、2022-23シーズンの参考資料、ビデオスカウティングファイル、対戦相手の調査情報など、数千にもおよぶ機密ファイルを送信したとされている。
ニックスは、アゾタム氏が雇用契約の機密保持条項に違反したほか、ラプターズのメンバーがアゾタム氏にこれらの行動を指示、またはアゾタム氏の不正行為からの利益を理解していたと主張。告訴状には、ラプターズのダーコ・ラジャコビッチヘッドコーチ、プレーヤー・ディベロップメントのノア・ルイス氏、およびその他10名のラプターズ従業員も被告として記載されている。
ニックスは今回の訴訟について、以下のコメントを伝えた。
「アゾタムはニックスの内部関係者としての立場を利用してラプターズに独自情報を漏洩し、新たなコーチングおよびビデオスタッフの組織化を手助けするために共謀しました。雇用契約、刑事および民事法の明確な違反があるため、この行動を取らざるを得ませんでした」
ラプターズおよび球団の親会社である「メイプルリーフスポーツ&エンターテイメント(MLSE)」社は、ニックスの告訴に対して共同で声明を発表した。
「MLSEならびにトロント・ラプターズは、先週木曜日にマディソン・スクエア・ガーデン・スポーツ(MSG)社から、これらに対する苦情の手紙を受け取り、迅速に対応し、内部調査を行い、全面的に協力する意向を明示しました。弊社はMSG社とのやりとりの後、訴訟が提出されたとの報告は受けておらず、申し立てへの関与を強く否定しています。MLSEならびにトロント・ラプターズは、この問題が両者にとって満足のいく解決を迎えるまで、これ以上のコメントは差し控えます」
ニックスによれば、アゾタム氏はニックスに対して、2023年7月にラプターズから勧誘を受け、翌年にオファーを受諾する予定であることを知らせたという。ニックスは、アゾタム氏が同時期にニックスのメールアカウントから機密情報の転送を開始し、ラプターズの被告と共有したと主張。流出したビデオファイルは3358本にもおよび、ラプターズの被告はそれらに2000回以上アクセスしたという。
ニックスはこの訴訟において、ラプターズに対して損害賠償ならびに機密情報の使用禁止、そしてアゾタム氏が情報盗用と不正行為の結果でいかなる利益も享受できないよう要求している。
もし、ニックスの主張が事実であれば、NBAもラプターズに対して何かしらのペナルティを科すことになるだろう。再建を目指すラプターズに待ち受けているのは、想像をはるかに上回る茨の道かもしれない。
文=Meiji
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