2017.05.02
財政難による運転資金不足。それに伴うクラブ消滅危機。さらに2017-18シーズンのB2リーグライセンスの不交付。ここ数カ月間、耳を塞ぎたくなるような話題が鹿児島レブナイズを覆っている。果たして今、鹿児島はどのような状況にあるのだろうか? 現状を探るべく、鹿児島に常駐しながらクラブの再生を支えるBリーグライセンス事務局の勝井竜太氏に話を聞いた。
インタビュー=磯田智見
写真=Bリーグ
――まずは鹿児島レブナイズの財政難の経緯をいま一度整理させてください。
勝井 元々レノヴァ鹿児島としてJBL2(後のNBDL)で8年の歴史を積み、Bリーグへの参入が決定しました。このタイミングで事業や経営基盤のさらなる強化が必要でしたが、大事なこの時期に経営努力を怠ってしまった。プロリーグに必要な運転資金に収入が追い付かない状況が続いてしまったのです。
――なるほど。
勝井 また、過去の未払い等の負債も残っている中での運営なので、常に資金繰りが厳しい状況にあり、人手も少ないことから悪循環を断ち切れなかったのです。その結果、リーグの融資に頼らざるを得ない状況となりました。財政難状態に陥った原因については、ガバナンスの欠如が一番の課題であったと考えています。
――財政難という第一報を受け取った後、Bリーグとしては本件をどのように捉えられたのでしょうか?
勝井 地域からプロスポーツがなくなってしまう可能性があることに対し、使命感を持って対応しなければならないと考えました。
――その後、公式試合安定開催融資を始め、Bリーグは様々な手を講じました。
勝井 2月にクラブからの申請があり、3月1日のBリーグ理事会で1,500万円を上限とした公式試合安定開催融資を決定しました。もしリーグ戦途中、財政難でクラブが存続できないと、他クラブのホームゲームが中止になるなど、ステークホルダーに多大なる迷惑をかけてしまいます。それは絶対に避けなくてはならないということから、理事会にて融資が決定されました。その後はほぼ常駐で再建に取り組んでいます。
――融資実行の際はクラブにペナルティが課せられると聞きました。
勝井 クラブから要請があり次第、上限1,500万円の公式試合安定開催融資を実行する中で、もし融資が実行された場合のペナルティとしては、2016-17シーズンの勝率の計算に際して勝ち数5を減じることになります。
――クラブの反応はいかがですか?
勝井 クラブには、すでに選手に対して給与の未払いがありました。「さらに選手が積み上げてきた勝ち数が無条件に減ってしまうような事態は絶対に避けなくてはならない」という想いが改めて醸成されたように感じられます。
――同じく、選手も融資を回避すべく、主体的に活動しているようですね。
勝井 はい。選手主体での募金活動など、オンコート、オフコート問わず必死に戦っています。
――この状況を打開するため、Bリーグが具体的に取り組んでいることを教えてください。
勝井 会社運営、経営管理、組織構築、資金調達手段の検討実行、ステークホルダーの調整など、様々な側面支援を行っています。鹿児島の中からプロクラブを引っ張っていく主体性を持ったリーダーが出てこないと持続的には発展していかないので、それをフォローするのが一番のミッションですね。
――この数カ月での成果はいかがですか?
勝井 鹿児島プロバスケットボール協議会が4月初旬に立ち上がり、多くの方々からの支援のおかげで3月、4月の融資は回避することができました。ただし、クラブの存続や来シーズンのB3リーグへの入会はまだ決まっていませんので、これからが大事な時期ですね。とはいえ、この1カ月半で選手・クラブ関係者の意識が大きく変わったことは実感できていますし、前向きに進んでいると感じています。
――本件における直近の目標と将来的なゴールについて聞かせください。
勝井 鹿児島レブナイズ、県協会、自治体が地域にプロスポーツクラブがある意味をしっかり考えること。そして、「オール鹿児島」で主体性を持って取り組むことが重要になってきます。事業計画・組織体制をしっかり構築した上でさらなる支援を獲得し、B3入会を目指すこと。これが直近のゴールであり、Bリーグとしても側面支援をしていきます。
――地域との連係も欠かせませんね。
勝井 そのとおりです。プロバスケットボールクラブが地域にとって必要不可欠な公共財になること。そして、スポーツの垣根を越えて、社会に対して何ができるかについて、バスケットボールを通じて考え、取り組めるクラブになってほしいと思っています。
――最後にBリーグファン、レブナイズファンへメッセージをお願いします。
勝井 プロクラブは地域にとって本当に必要なクラブになることが絶対条件だと考えております。まずは、5月6日、7日の鹿児島アリーナでのホーム最終戦、選手が必死に頑張る姿をぜひ見に来てください。
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