2025.03.23

全国常連を破る快進撃「どう高校生活を送るのか」箕面学園が大事にしている伝統

決勝で13得点をマークした箕面学園高1年の眞弓悠生[写真]=田島早苗
フリーライター

■近畿新人大会で躍進

 和歌山県にて開催された「第35回近畿高等学校バスケットボール新人大会」(2月15、16日)において初の準優勝となった箕面学園高校(大阪府)。

 大阪府の3位代表として臨んだ同大会では、2回戦で洛南高校(京都府)、翌日の準決勝では光泉カトリック高校(滋賀県)と全国常連校を相手に接戦を演じ、勝利をものにした。迎えた東山高校(京都府)との決勝でも真っ向勝負。ジリジリと離されて最後は27点差で敗れはしたものの、昨年のインターハイ覇者に対して必死に食らいついていった。

ゴール下で存在感を示した箕面学園高のMpiba Mosengo Exauce[写真]=田島早苗


 近畿新人大会で躍進を遂げた箕面学園は、200センチのMpiba Mosengo Exauce(2年)だけでなく、眞弓悠生(1年)、井上燎(2年)らアウトサイド陣も積極果敢な攻めで得点に絡む。そのため、インサイドとアウトサイドとがバランスよく攻撃を仕掛けることができるのが特長だ。

 また、アンドレス容子コーチが「スーパースターがいるチームではないので、とにかく“走って”、“守って守って守って”を大事にしています。グッドディフェンスからグッドオフェンスをしようということで、選手たちも集中して遂行してくれていますし、それがゲームに表れているのだと思います」と、走力を全面に出した速い攻めや激しいディフェンスも強みとしている。

■「うちはオフコートはとても厳しいと思います」

箕面学園高を指揮するアンドレスコーチ[写真]=田島早苗


 指揮を執るアンドレスコーチがチームの指導に当たって約10年。スポーツを通して活気を生み出すことや頑張る選手を育てようといった学校の考えもあり、男子バスケットボール部はここ2、3年で推薦による選手や留学生などが入学した。チームの活動も以前より広がった中、成績も今大会の準優勝や昨年のウインターカップ大阪府予選で2位になるなど着実に残してきた。

 とはいえ、人が集まったからといってすぐに結果が出る世界でもないのではないか。

 アンドレスコーチは、「うちはオフコートはとても厳しいと思います。バスケットファーストの中でどう高校生活を送るのか。覚悟と責任とプライドを持つこと。細部にわたって目配り気配りができるようにということで、オフコートのところもしっかりやっています。物事を決めて覚悟を持って遂行していく。それがさっきも言いましたが、コートの中で出てきます。練習も相当タフだと思います」と、10年以上変わらないチームの方針をこのように語った。

 チームとして継続的に取り組んできたもの、積み重ねたものがしっかりとした幹としてあるからこそ、好成績を生み出しているといえるだろう。

「日頃から選手たちは人間としての面でも一生懸命に成長しようと取り組んでくれています」と目を細めた指揮官は、コート内外で真摯にバスケットボールに向き合うことはチームの伝統ともなっているという。

東山高戦でチーム最多23得点を挙げた井上燎[写真]=田島早苗


「こういった取り組みをつないでいくという意味では、私たちコーチ陣も選手たちに本気で向き合っています。選手は本当にいい子たちで、人の気持ちを分かろう、周りへの感謝を大事にしようとしてくれている。彼ら自身も“伝統”を崩したくないということは常に言っています」と、アンドレスコーチは言う。

 そんなアンドレスコーチは会社員の経験も持ち合わせるが、「社会に出てどうやって戦っていくのか、どうやって必要とされる人間になるのかとなったとき、彼らが知らなくて困ったり、恥ずかしいことを知らずにやってしまったりすることがないようにとは思っています」と、指導をする上での熱い思いも語ってくれた。

「(コーチも選手も)一緒に育っていこう、成長していこうというのがうちのコンセプトなんですよ」というアンドレスコーチのもと、これまでの伝統を大切にしながら新たな歴史の1ページを刻んだ箕面学園。大阪、そして近畿と存在感を大きくするチームがこの先どのような戦いを見せるのか。文字通り目が離せない。

取材・文=田島早苗

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