2025.08.19

B.LEAGUEが外傷・障害レポート公表…B1改善と課題が浮き彫りに

バスケ情報専門サイト

 8月19日に行われたBリーグ理事会後のメディアブリーフィングで、島田慎二チェアマンは株式会社ユーフォリアと共同で実施した外傷・障害調査の結果をまとめた「りそなグループ B.LEAGUE 2024-25 SEASON Injury Report」の公開について説明した。

 対象は2024年9月30日から2025年5月27日までで、B1B2全38クラブの報告と公式記録を掛け合わせた信頼性の高いデータとなっている。調査結果によると、外傷・障害の発生件数は482件で、前シーズンの499件から減少。2022-23シーズンの513件からも2シーズン連続で減少し、全体的には改善傾向が見られた。試合中の発生は393件、練習中は89件と、依然として実戦でのリスクが高い状況が続いている。

 一方、カテゴリー別に見るとB1は1クラブ平均11.2件と前シーズンの13.0件から減少したのに対し、B2は15.2件と増加した。島田チェアマンは「特にB1ではトレーナー体制や施設環境が整備され、改善が進んでいる。B2についてはまだ結果が出きっていないが、データに基づいた取り組みを進めれば成果は出るはずだ」と強調した。

 障害の種類では、足関節捻挫が83件と最多だが、前シーズンの117件から大幅に減少。一方で、大腿や下腿の肉ばなれ・筋断裂は64件と前シーズンの39件から増加しており、新たな課題として浮かび上がった。報告を担当したBリーグの数野真吾氏も「肉ばなれは年齢やプレータイムの増加が要因となるケースが多い。負荷コントロールをどう徹底するかが次シーズンに向けた焦点だ」と語った。

 選手が試合に出場可能であった割合を示す「Player availability」は90.8パーセントと、前シーズンと同水準を維持。B1は91.8パーセントと改善が進んだが、B2は88.9パーセントにとどまった。カテゴリー間で3ポイントの差が生じており、リーグはサポート体制の均質化を急ぐ必要がある。

 また、外国籍選手に特有のリスクも着目された。シーズン開幕直後1カ月の怪我発生率は、2023-24シーズンの26.27パーセントから18.42パーセントへと約30パーセント減少。島田チェアマンは「来日のタイミングや事前コンディション調整に取り組んだ成果が出ている」と述べ、クラブの取り組みを評価した。

 質疑応答では、記者から「足関節捻挫の再受傷率」について質問があり、「24-25シーズンでも13.7パーセントが再受傷だった。23-24シーズンは17.5パーセントに達しており、再発をどう防ぐかが今後の鍵になる」と担当の数野氏が回答した。また、脳振盪の件数が増加したことに関しては「認知の進展により報告が増えている面もある。丁寧なモニタリングが必要」と説明した。

 リーグはSCS推進チームで分析を重ね、予防策を各クラブへフィードバックする体制を整えている。島田チェアマンは「データに基づいて怪我のリスクを減らす取り組みを続けることで、選手の稼働日数を増やし、リーグ全体の競技力を高めたい」と改めて強調した。

 全体件数の減少は前進を示すが、B2における発生増加や肉ばなれの増加は新たな警鐘でもある。外傷・障害レポートは、リーグが次に取り組むべき課題を浮き彫りにし、競技環境の改善に向けた指針として活用されていくことになる。

Bリーグの関連記事