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中学生年代の海外挑戦をサポート・GLOBALLERS6期生、LAでの激闘で知る “世界との差“と”自分たちの答え“【後編】

取材・写真=GLOBALLERS

 株式会社サン・クロレラによる、NBA 選手を日本から輩出することを目的とした中学生年代育成プロジェクト『GLOBALLERS』。アメリカキャンプ中盤以降は、バスケの名門大学UCLAや・NBAのロサンゼルス・クリッパーズの本拠地アリーナIntuit Domeへの訪問、現地のスキルコーチによるトレーニングを実施する等充実した時間を過ごしていた6期生だが、このアメリカキャンプで残された時間はCALI-LIVE SUMMER SHOWCASEという大会のみとなっていた。

 CALI-LIVE SUMMER SHOWCASEには4試合が用意されており、初日の2試合は完勝。日本ではやったことのない、ゾーンディフェンスを試合で実施した際には、選手間の連携・コミュニケーション部分で課題も出たが、それを上回る攻撃面での連携の良さを見せた。発足当時にはプレー面・コート上での表現力物足りなさを指摘されることが多かった6期生だが、一緒に過ごす時間が長くなればなるほど、一つのチームとして強くなっていったのは誰の目に見ても明らかだった。

 また自信もついてきたのか、アメリカに慣れて来たのか、サイズ面で上回る相手を機動力で圧倒する展開も増えてきて、この短期間で選手の成長が見受けられた。

 BANG LEEコーチからも「個の力という観点では、5期生の方が上かもしれないが、チームとしての完成度では今年の方が高いんじゃないですかね」と6期生に対するポジティブなコメントがあった。

 最終日の初戦は、サイズでは上回る相手にも主導権を握り、危なげなく、勝利したGLOBALLERSだったが、徐々に疲労・体の痛みに顔をゆがめる選手が多くなってきた。

 最終戦の相手は、A.C.E.S NEXT LEVEL 15で、数日前に行われた前の大会で試合では、激戦の末、勝利を収めているチームである。前回GLOBALLERSに負けていることもあり、新たな助っ人選手も呼んでいる模様で、二回も同じチームに負けてられないという雰囲気が相手からは全面に押し出されていた。

 満身創痍の中、試合が始まり、序盤から激しい攻防が繰り広げられる。両チームとも前回の試合よりもギアが一段上がっている。

 7点ビハインドで前半を折り返した、GLOBALLERSの雰囲気は少し暗い印象、岸上怜央奈も「前半はゲームの内容も相手の方が良く、ケガ人も出たことで、受け身になってしまった」と振り返り、これまでアメリカ人相手にも当たり負けして来なかった、唯一の下級生である大城瑛士も「アメリカキャンプを通して課題と感じた球際の部分、後半はもっと強気に行かないとダメだと感じた」と話した。

 後半も質の高いゲームを継続していたGLOBALLERSだったが、残り2分で8点差のビハインド、なかなか点差は縮まらなかった。

 終盤になり、ようやく質が高まってきたゾーンディフェンスからの良い攻撃で点差を詰め、残りで30秒で2点差ビハインドの痺れる展開に。

 これまで鋭いドライブで効果的なプレーを連発してきた東山凌久がここでも勝負強さを発揮。ファウルをもらいながら得点をしたかに思われたが、シュート前のファウルという笛が吹かれる。

 改めてGLOBALLERSボールでのオフェンス最後の攻めとなる可能性がある場面でボールを持ったのは、福田佳也。「僕は無名の選手で、レベルの高い選手と一緒にバスケをできるだけで僕は幸せです」と控えめなコメントを続けてきた彼が値千金の同点弾を沈め、カウントワンスローも獲得。フリースローは外してしまうものの、すぐにプレスをかけて、相手のターンオーバーを誘発し、アメリカキャンプ全体を通してハイパフォーマンスを保ってきた矢作拓真がゴール下シュートを決め、大逆転で試合終了。

 これ以上のないドラマチックなエンディングであった。そしてアメリカキャンプを最高の形で締め括った。

 試合後、GLOBALLERSの選手全員、この経験を忘れずに、自分の財産にしようとしていた。

 宮城昊河は、「自分みたいに小さな選手でも、アメリカの体の大きい人ともやりあえることが分かったし、日本に帰ったら、かなり自信を持ってプレーできると思います」と話したし、福田佳也は「僕みたいに無名の選手でもチャンスを得られたし、GLOBALLERSに応募したことが僕のバスケット人生を変えたと思います」とこれまでとは別人のような表情で語った。

 MARUコーチは「肩書きなんて関係ないし、勇気を持ってチャレンジする選手に対しては、人生が変わるきっかけをGLOBALLERSは与えられると思っている」と話した。

 彼らにとっては、アメリカで憧れと現実が入り混じった日々を過ごしたが、彼らの戦いは始まったにすぎない。

 アメリカキャンプを戦ったメンバーGLOBALLERS6期生8名は以下の通り

#36 宮城昊河 琉球ゴールデンキングスU15所属(中学三年生)
#56 大城瑛士 琉球ゴールデンキングスU15所属(中学二年生)
#67 岩崎史龍 長崎ヴェルカU15所属(中学三年生)
#65 矢作拓真 金沢学院大学附属中学校所属(中学三年生)
#66 星野一嘉 hokka Jamaney所属(中学三年生)
#69 東山凌久  KAGO CLUB OSAKA所属(中学三年生)
#61 岸上怜央奈 Tokyo Samurai所属(中学三年生)
#76 福田佳也 ISC PANTHERS所属(中学三年生)

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