2023.01.17
船橋アリーナで開催された「第98回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会」クォーターファイナルは千葉ジェッツと信州ブレイブウォリアーズで対戦。両者ともに元旦からリーグ戦を戦い、中2日で迎えるタフなスケジュールのなか、まさしく「死闘」という名に相応しいゲームとなった。
その状況下で先手を握ったのはホームの千葉Jだった。大黒柱の富樫勇樹が第1クォーターから3ポイントシュートやドライブなど次々と得点を重ねて、この日あげた27得点のうち15得点を獲得。“富樫劇場”がコート上で幕を開けた格好となった。
しかし、一気に千葉の流れになるかと思われたが、信州も徐々にチームディフェンスが機能し始め、食い下がる格好となる。第2クォーターに入るとお互いに我慢の展開の中、ディフェンスが機能し始めた信州が徐々に千葉を追い上げていく流れに入った。それでもこの日、攻守にアグレッシブな姿を見せた前田怜緒を中心に点差が縮まっていくが逆転するまでには至らず、千葉が43−37と6点リードで終える。
第3クォーターはディフェンス勝負で、どちらも譲らない10分間となった。両チームともゲームの流れをつかませないとディフェンスの強度がさらに上がり、スコアはなかなか動かない。第4クォーターも一進一退の攻防が続き、時間だけがどんどん過ぎていく。
千葉Jはヴィック・ローがミドルシュートや豪快なワンハンドダンクで会場を沸かせ、相手に主導権を握らせない状況を作るが、信州の岡田侑大がこのクォーターだけで10得点と活躍を見せて流れが徐々に変わっていき、1ポゼッションを争う展開に。そして、残り14.6秒、ローがミドルシュートを決めて2点リードを千葉Jが奪うとアリーナは興奮の坩堝を化した。
それでも信州は冷静だった。タイムアウト明けのポゼッションから残り2.8秒、ジョシュ・ホーキンソンがペイントエリア外からフェーダウェーシュートを華麗に沈め、ガッツポーズを見せる。スコアは79−79となり、延長戦に突入した。
この試合、千葉Jはジョン・パトリックヘッドコーチとクリストファー・スミスを欠くスクランブル態勢、さらに前日練習もできず、ギリギリの状態で戦い抜いた。指揮を務めた小川伸也アシスタントコーチは「色々な問題の中で本当に集中しづらい状況でも、チーム一丸となって戦えたのはすごく良かったし、天皇杯はとにかく勝つことが重要なので何よりです。難しい状況でしたが、今日は自分たちのバスケットにフォーカスさせることを意識しました」とゲームを振り返った。
一方、2年連続のクォーターファイナルで姿を消すことになった信州の勝久マイケルHCは「勝つためには本当にフィジカルとメンタルをタフにして焦らず戦わないといけない中で、前半から急いでしまい、慌ててしまったポゼッションが多かったです。それと相手の強みでもあるオフェンスリバウンドを20個獲得されてしまったのが敗因。それでも選手たちは本当にファイトしてくれたし、またすぐにリーグ戦で対戦があるので、次は必ずリベンジしたいです」と選手たちをねぎらった。
千葉Jの富樫も勝ったことが全てというコメントでゲームを振り返る。「チームとしても天皇杯は、もう一つの需要な大会として捉えているので、絶対に負けられないという気持ちはありました。天皇杯はトーナメント戦という一発勝負で戦うので、内容はどうであれ、勝てたことが全てかなと思います」。
会見に対応した千葉Jの原修太や西村文男も同様に、勝利が全てというコメントを残した。天皇杯もここまで勝ち上がってくれば、内容云々ではなく、勝敗がすべてということを物語っている。
次戦は昨シーズンのBリーグ王者であり、何度も大舞台で戦ってきた宇都宮ブレックスとの対戦となるが、「しっかりとした準備をして、チーム全体が万全の状況で臨みたい」と富樫が言えば、「絶対にタフなゲームになると予想しているので、ルーズボールやリバウンドなどが凄く大事になってくる。とにかく自分達のバスケをできるように準備したい」と、原が力強く話してくれた。
天皇杯のセミファイナルは2月15日、宇都宮のホーム、ブレックスアリーナ宇都宮で開催される。そこではどんなドラマが待っているのか⁉ ファイナルの舞台となる有明コロシアムへの切符をつかむむのはどのチームか、激戦必至だ。
取材・写真=鳴神富一
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