2019.09.02
2016年からBリーグを取材していて気づいたことがある。開幕から3シーズンが過ぎ、試合会場に若い女性ファンが増えたことだ。声を上げて応援する人、2階席でお酒やアリーナグルメを満喫しながら観戦する人、いい写真を撮ろうとカメラ片手に選手を追いかける人……。楽しみ方は様々だが、彼女たちはどのようなきっかけでBリーグを知り、いつから観戦に訪れているのか。そして、4年目のBリーグは、さらに多くの女性ファンが会場に訪れるのだろうと思っている。そんな彼女たちを、『Bリーグ女子』と銘打ち、話を聞くことにした。
■Bリーグ女子とは——。2016年に開幕した男子のプロバスケットボールリーグ『Bリーグ』の女性ファンを意味する語。ファン歴問わずBリーグ全体、または特定の所属チームが好きな女性を指す。略してB女(ビージョ)とも呼ぶ。
連載第2回目は、女優の広瀬すずさん……のモノマネで人気の吉本興業所属芸人・まるいるいさん。彼女はまだ、現地でBリーグの試合を観たことがない。言わば、Bリーグ女子の“原石”だ。ファン歴は浅いが、そうだからこそ、より新鮮な話を聞かせてくれた。
インタビュー・写真・文=小沼克年
――まずは、まるいさんがBリーグを知ったきっかけを教えてください。
まるい 今年の6月に、吉本バスケ部(「ブカツ!」=吉本工業が行う部活動プロジェクト)に入りたくて、麒麟の田村(裕)さんに直接連絡をして入部させてもらいました。そこでの最初の活動の時に、田村さんが田渡修人(サンロッカーズ渋谷)選手をゲストに呼んでくださったんですよ。Bリーグの選手だと紹介されて、そこで初めて『Bリーグ』という存在を知りました。気づくのが遅いですよね(苦笑)。
――2016年の開幕戦はフジテレビで生放送され、まるいさんがモノマネをしている広瀬すずさんがスペシャルブースターとして盛り上げてくれました。
まるい そのことも人づてに聞きました。お姉さまのアリスさんと一緒にやられてたんですよね?
――そうです。お二人ともバスケ経験者ですしね。田渡選手の第一印象はいかがでしたか?
まるい プロ選手ということで、最初は「すごい人なんだ!」と勝手に思いこんでしまっていたのでちょっと怖かったです。でも話してみたらすごく優しくて、田渡さんはずっとボケていました(笑)。あと、別の日には石橋貴俊さん(八王子ビートレインズアンバサダー)ともお会いして一緒にバスケをさせていただきました。
――石橋さんは身長が2メートル以上あるのでビックリしたのでは?
まるい はい! 私が今までお会いした方の中で一番大きかったです!!
バスケ部に入ったら身長が2mmになった。 pic.twitter.com/smj1l3JAVf
— まるいるい (@Rui_tontokoton) June 30, 2019
――石橋さんとは、どのようなお話をしましたか?
まるい レイアップシュートを教えていただきました。私、小学1年生から中学3年生までバスケ部でしたけど、ここ3年くらいバスケをやっていなくて。久しぶりにプレーしたら、シュートの感覚が自分のイメージと違いすぎてショックだったんです。でも、石橋さんに教えてもらったことで感覚を取り戻せました。今はちゃんと決められます。
――ちなみに、吉本バスケ部には他にどんなメンバーがいるのでしょうか?
まるい 現在は20名くらいで、ノンスタイルの井上(裕介)さんや大西ライオンさん、チョコレートプラネットの松尾(駿)さんなども所属しています。女性部員は私とNuとりあ。(ヌートリア)のあこさんの2人だけです。
――まるいさんがバスケを始めたきっかけを教えてください。
まるい 4歳上の姉が小学5年生の時、友だちに誘われてバスケ部に入部したんです。その影響もあって、私と2歳上の兄も一緒にバスケ部に入ることになりました。当時から父がそのミニバスチームの監督をしていて、今年でもう15年目になります。
――バスケ一家なんですね。
まるい 小学6年生の時はキャプテンもやりました。入部当初から父には「練習でも試合でも絶対にお父さんと呼ぶな」と言われていて、お父さんて呼ぶと無視されるので、家でも「監督」って呼んでいました(笑)。
――当時憧れの選手はいましたか?
まるい 父が田臥(勇太/宇都宮ブレックス)選手のファンということもあり、私も子供の頃から大好きです。“すごいバスケット選手”と言えば田臥選手というイメージですし、つい最近まで実家のリビングには田臥選手の原寸大ポスターが飾られていました。Bリーグではなく、まだ実業団だった頃は何度か試合観戦にも連れて行ってもらいましたね。
――今年の6月に知ったということは、まだしっかりBリーグの試合を観たことがないと思います。
まるい はい。すでにシーズンが終わっていたので……。でも、8月12日の日本対ニュージーランドの試合を千葉(ポートアリーナ)まで観に行きました!
――そうなんですね。現地観戦した素直な感想を教えてください。
まるい 田村さんが誘ってくださって、吉本の先輩方と4人で行ってきました。10年ぶりくらいに会場でバスケの試合を観たんですけど、すごすぎて何も言えなかったです。
――具体的にどんな点がすごいと感じましたか?
まるい 一番は会場の雰囲気です。「バスケの試合で5000人もお客さんが入って、こんなに盛り上がってるんだ!」って圧倒されました。興奮していたんですけど、思わずじっくり見入ってしまいましたね。試合も海外のチームと互角以上に戦っていたので、単純にすごいと思いました。その試合を観たことでまたバスケにハマってしまって、実は22日のアルゼンチン戦も観に行きました(笑)。
――いいですね。その日のさいたまスーパーアリーナは約1万6000人のバスケファンが訪れました。
まるい 「時代が変わったんだな」って(笑)。千葉の時の5000人ですごいと思っていたのに……。
――2試合をとおして気になった選手はいましたか?
まるい ニュージーランド戦は刺激を受けすぎて、正直あまり覚えてないんですけど、13番の選手が印象に残っています。
――安藤周人(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)選手ですね。
まるい あっ、そうです。3ポイントシュートを決めたのを覚えています。あとは篠山(竜青/川崎ブレイブサンダース)選手。私はディフェンスが下手だったので、昔からディフェンス力のある選手に憧れていたんです。篠山選手のディフェンスは手を出すのではなく、ちゃんと足を使ったディフェンスだったので 「あんなディフェンスができたら楽しいだろうな」って思いました。
――篠山選手はBリーグのどのチームに所属しているかわかりますか?
まるい 川崎ブレイブダンサーズ??
――サンダースです(笑)。“ダンサーズ”だとチアリーダーが頭に浮かんできそうです……。
まるい すみません……(笑)。
――他に気になった選手はいましたか?
まるい アルゼンチン戦は馬場(雄大/アルバルク東京)選手がとんでもなかったです! 特に第2クォーターの最後、馬場選手がバックコートから1人でドリブルして行って残り時間ギリギリでバスカンを決めたんですよ。あと、2クォーターはその前に八村塁(ワシントン・ウィザーズ)選手がパスカットからダンクを決めてくれました。あの場面は会場も特に沸きましたね。八村選手はニュージーランド戦もですけど、すごいというか、もう圧倒的でした。
――八村選手のことは昔から知っていましたか?
まるい はい。高校の時に部活は入ってなかったんですけど、助っ人としてたまにバスケ部で活動していて。男子の応援にも行っていたので、八村選手を生で見たことはなかったですけど、当時から「八村はヤバい!」って噂は聞いていました。馬場選手と八村選手が同じ中学校出身ということは最近になって知りましたね。
――まるいさんと八村選手は、年齢も一緒で名前も“るい”で同じですよね(笑)?
まるい そうなんです! それは当時から思っていました。同い年の子がすでに世界で注目されているので、胸焼けがしますけど……(笑)。「私も頑張らなきゃな」って思いますね。
――また観戦に行きたいと思いましたか?
まるい 絶対に行きたいです! Bリーグの試合も全部!!
――日本代表の「FIBAワールドカップ2019」が終われば、いよいよBリーグ開幕が迫ってきます。現時点で注目してるチームなどはありますか?
まるい 今は3択で悩んでいるところです。
――具体的に教えてください。
まるい 推しメン候補が所属している3チームです。馬場選手がいるアルバルク東京か、田渡選手がいるサンロッカーズ渋谷、もう1つは篠山選手の川崎ブレイブサンダース。やっぱり観に行くとなると都内周辺なので、その3チームを重点的にチェックしています。リーグ戦の前にアーリーカップという大会があるんですよね?
――そうなんです。「B.LEAGUE EARLY CUP」は、レギュラーシーズン開幕に先駆けて全6地区で開催される地区別のトーナメント戦です。 関東地区は今年、船橋アリーナで実施されます。組み合わせは見ましたか?
まるい いや、まだ見てないです。今調べていいですか?
――もちろん。
まるい …………えっ! 右側にアルバルク、サンロッカーズ、川崎が固まっているじゃないですか!? しかも田臥選手がいる宇都宮も来るんですね。
――複数のチームが一堂に集まるので、たくさんの選手が観れます。まだBリーグ観戦に行ったことのないまるいさんも十分楽しめると思います。
まるい これは絶対に行きたいです! 新たな推しメンも探せそうですね。これからもBリーグについていろいろ勉強してみます。
――推しメン、推しチームが決まったらぜひ教えてください。最後に、Bリーグファンへメッセージをお願いします。
まるい 私は、まだまだ“Bリーグ女子”とは言えないような初心者ですが、バスケをやっていた身としてはもっとバスケが日本に浸透すればいいなと思っています。イチ芸人としてバスケのネタやモノマネもやっていますし、“バスケ芸人”としてもバスケを広めていきたいと思っているので、これからもよろしくお願いします!
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