2021.12.04
2年ぶりのインターハイが北信越地域地区を舞台にまもなく幕を開ける。昨年の大会は新型コロナウイルスの影響により中止を余儀なくされ、今年の高校生プレーヤーのなかには夏の全国を知らない選手も、数多くいるだろう。そこでバスケットボールキングでは、かつてインターハイで激闘を繰り広げたBリーガーにインタビューを実施。当時の思い出とともに、彼らにとってインターハイがどのような舞台だったのかを伺った。
第三弾は琉球ゴールデンキングスの牧隼利。小学校1年次にバスケットボールを始め、高校は全国でも名だたる強豪の福岡大学附属大濠高校へ進学し、3年連続で夏の全国の舞台に立った。前編では高校入学から2年次のインターハイまでの思い出を聞いた。
インタビュー・文=岡本亮
――まずはバスケットを始めたきっかけを教えてください。
牧 父が大学生までバスケットボールをやっていて、その影響で小学1年生の時に始めました。
――中学校はさいたま市立原山中学校でプレーされていました。
牧 チーム自体はそれほど強くなくて、行って県大会くらい。ですが、僕はジュニアオールスターに出場することができて、それが初めての全国大会だったのでとても印象に残っています。
――所属チームから牧選手だけが選抜された形になったということですね。
牧 そうですね。周りに比べて身長が大きかったので呼ばれたんだと思います。
――現在188センチですが、いつ頃から大きかったのですか?
牧 背の順はずっと後ろのほうでした。どこかで一気に伸びたというよりは、基本的に大きかったという感じですね。
――高校は福岡県の福岡大学附属大濠高校へ進学しました。
牧 中学校ではなかなか全国に行けなかったのですが、ジュニアオールスターで全国の舞台を踏んだ時にレベルの違いを肌で感じ、高いレベルでやってみたいと思ったんです。高校はいろいろ探していたのですが、九州出身の父がコネクションを作ってくれて、大濠の練習に一度参加させてもらい、そこで推薦を頂けることになりました。
――埼玉県と福岡県はかなり距離が離れていて寮生活を送ることになりますが、不安はありませんでしたか?
牧 全く無かったですね。地元は好きですけど、場所というよりはバスケットのことを第一に考えていました。
――中学校から大きく環境が変化し、練習も厳しかったのではないでしょうか。
牧 大濠へ行きたいと思った理由の一つに、練習の雰囲気があるんです。厳しさの中に楽しさがあり、大濠が掲げている「カッコ良さ」を肌で感じられた。そこは入学した後も変わらず感じられました。
――「カッコ良さ」とは具体的にどういうことですか?
牧 大濠が昔からスローガンとして「カッコ良く」というのを掲げているのですが、言われたことだけをこなすのではなく、スマートさと規律を持って人としてどうあるべきか。それを大濠ですごく教えてもらって、それがカッコ良さにつながっているんじゃないかと思います。
――牧選手は1年次のインターハイからメンバー入りしますが、ベンチからの出場となりました。
牧 すごい先輩方がいたので練習から全国のレベルは感じていたのですが、初めてのインターハイでもレベルの高さを感じましたし、すごく記憶に残っています。
――初めてのインターハイは準決勝で藤枝明誠高校に91−94で敗戦。相手には角野亮伍選手(シーホース三河)が所属していました。
牧 角野選手はとても印象に残っています。僕がマッチアップする時間帯もあって、そこから角野選手が自分の中で指標になりました。
――実際にマッチアップしてみてどんな印象を持ちましたか?
牧 単純にシュートが上手で、特に覚えているのがフリースローがすごく上手かったこと。やっぱり得点能力に長けている部分があり、すごく刺激になりました。
――決勝の相手だった明成高校からも八村塁選手(ワシントン・ウィザーズ)と納見悠仁選手が離れていました。お互いが不完全燃焼な形だったのではないでしょうか。
牧 それはもうめちゃくちゃありましたね。
――やっぱり決勝の舞台に立ちたかったですよね?
牧 はい。高校生はインターハイとウインターカップくらいしか大きな大会がないので、今後変わることを願っています。
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