2022.07.14

インターハイ男子注目校(1)中部大学第一(愛知)「3年生カルテットを軸に連覇を懸けた夏を迎える」

昨年に続いて夏の全国制覇を狙う中部大第一 [写真]=山田智子
フリーライター

 7月27日から8月1日にかけて香川県で行われる「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。熱戦が期待される夏の祭典の開幕を前に、バスケットボールキングでは大会で見るべき注目のチームをピックアップした。

■男子注目チーム(1)中部大学第一(愛知県)

「第69回東海高等学校総合体育大会」(6月18、19日開催)で優勝を果たし、「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会」(以下インターハイ)の第3シードを獲得した中部大学第一高校(愛知県)。昨年はインターハイで初優勝を達成しており、今年はディフェンディイングチャンピオンとして大会に挑むこととなる。

 そのチームを引っ張るのが、「4本柱」と常田健コーチが語る下山瑛司、坂本康成、小澤飛悠、小田晟の3年生たち。

 昨年からスターターを務める下山は、スピードあるプレーでオフェンスをけん引。フロア上では盛んに声を出すなど、チームをまとめる司令塔だ。シューターの坂本も下山と同じく昨年からスターターとして奮闘した一人。高いシュート力が魅力の選手である。また、188センチの小澤は、相手の状況に応じてインサイドで体を張ったり、アウトサイドから攻撃を仕掛けたりと万能な動きを見せるキャプテン。そして破壊力抜群のドライブが目を引く小田は、チームに活力を与える存在だ。

 この4人を中心に、「昨年は(ポイントガードの)下山にボールを集めることが多かったけれど、今年は誰もがボールを(前に)押せる」(常田コーチ)という布陣は、チャンスとみれば、果敢に得点を奪い、ディフェンスからの速攻にも全員がしっかりと絡む。畳み掛ける強さがあり、やはり今夏も優勝候補の一角であることには間違いない。

タフな動きでチームを盛り立てる小澤 [写真]=山田智子


 東海大会までは、「個人のスキル、レベルを上げていかないと、1年を通して全国で戦えない」(常田健コーチ)という理由から個の強化に重きを置いてきた。

「1対5になりかけるなど、流れが悪い時間帯もあったけれど、こちらがタイムアウトを取らなくても(悪い状況を)クリアできる力は付いてきたと思います」と指揮官は東海大会での戦いから一定の手応えを得たよう。

 一方で、昨年以上に個性が強いというメンバーは、1対1で打開しようとする思いの強さから、ボールシェアに関しては課題も。「自らが行くところとパスをさばくところの兼ね合い。ドリブルかパスかの判断がもう少し良くなれば」と常田コーチはインターハイに向けての改善点を語った。

 サイズだけを見れば昨年より小さいものの、「総合的な機動力がある」(常田コーチ)という今年。3年生を中心に臨機応変に動くことができることも持ち味なだけに、試合の中で「自分たちのやりたいディフェンスやオフェンスに相手がどう対応しているのかをジャッジする」ことを指揮官も選手たちに求めている。その点については、愛知県予選に続いて2度目の対戦となった桜丘高校との東海大会決勝で、「相手が前回の対戦から戦い方を変えてきていることに対してジャッジできていない時間帯があった」と常田コーチのコメントはまだまだ厳しい。だが、それは「全国大会ではそのまま流れを持っていかれる可能性がある」から。

 夏に向けて「一つ一つ積み上げていくだけです」と発した常田コーチ。今年のインターハイは、中部大第一としては初の挑戦となる『全国大会連覇』を懸けた戦いが待っている。

文=田島早苗
写真=山田智子

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