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『B MY HERO!』
「(毎試合)100点近く取っているけれど、プレスディフェンスから取っているわけではなく、ハーフコートオフェンスから得点をしているので、すごく力があると思います。脱帽です」
「SoftBank ウインターカップ2022 令和4年度 第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の女子準決勝、札幌山の手高校(北海道)と対戦した岐阜女子高校(岐阜県)の安江満夫コーチは、試合をこう振り返った。
3年ぶりの決勝進出を狙った岐阜女子だったが、試合では出だしから札幌山の手に連続得点を許し、ビハインドを負う。ここまで4試合を終えて1試合平均得点が27.8点の森岡ほのか(3年)に対しては警戒をしていたものの、最終的には23得点を献上。また、「それ以上にほかの選手に点を取られてしまったので、ゲームプランを途中で変えなくてはいけなくなった」と、後手を踏む形となってしまった。
試合はそのまま、札幌山の手にリードを広げられてしまい、68−98で終了。岐阜女子の冬の挑戦は3位で終えた。
今大会の岐阜女子は、2回戦でインターハイベスト4の八雲学園高校(東京都)を自慢のディフェンスでシャットアウト。準々決勝では、インターハイ準優勝の大阪薫英女学院高校(大阪府)を接戦の末に破り、準決勝へと進出した。
「夏以降に方向性が見えたので、そこからゲーム経験を積ませることによって選手が一つひとつ成長してくれたと思っています」と、安江コーチはこの1年を語る。そのチームにとって大きかったのが、「U18日清食品トップリーグ2022(女子)」。8月27日から11月27日の期間にわたって全7試合を戦った経験は、主力を務める2年生たちが「ゲーム経験を積むことによって一つ一つが自信になっていった」(安江コーチ)。
エースの絈野夏海(2年)も自信をつけた一人。加えて「試合を積み上げていく中で、自分が点を取りにいく、エースとしてやるしかないんだと徐々に思うようになっていきました」(絈野)と、トップリーグの戦いからエースとしての自覚も強くなっていったようだ。
2年生ながら“エース”の称号を担った絈野には、大きなプレッシャーがかかっただろう。それでも絈野は、「プレッシャーは感じたのですが、応援してくださる方々がたくさんいますし、ベンチ外でサポートしてくれる仲間もいるので、そういった仲間の思いを背負ったら、自分がやるしかないと思っていました」と、その覚悟を口にする。
その絈野に対して安江コーチは、「よくやってくれたと思います。でも、この準決勝で力を発揮しなければ意味がないので、そこは彼女の課題だと思います」と、言う。来年もエースとしての期待があるからこそ、一定の及第点を与えながらも、あえて厳しい言葉を発したのだ。
「うちが一番大事にしていること」という堅いディフェンスは、全国で披露した。それでも、98失点となったセミファイナルを踏まえて「一生懸命練習はしてきましたが、しっかり守りきれなかったというのは、まだまだだということ」と、指揮官はいう。
「来年は勝ち切れるように」と、力強く語った絈野。主力に下級生が多い岐阜女子は今、「階段を登っている途中」(安江コーチ)。冬で得た経験という財産を土産に、また一からチーム作りを始めていく。
文=田島早苗