4月になり新学期がスタート。新チームには新入生も正式に加わり、インターハイ予選に向けて本格的にチームの強化が進んでいるころだ。バスケットボールキングでは2023年に注目したい高校生ケイジャーをピックアップ。高校バスケ界をけん引するエース候補生を紹介する。

文＝入江美紀雄

アウトサイドのプレーにも挑戦中

　四日市メリノール学院中学（三重県）時代には、全国中学校バスケットボール大会、Jr.ウインターカップの2冠にエースとして貢献。昨年、桜花学園高校（愛知県）に入学すると、1年次からローテーションの一角を担ったのが深津唯生（2年）だ。

　次代のエースと目される深津だが、名門チームで抜擢されたのにはもちろん理由がある。まずはバスケIQの高さが挙げられるだろう。ディフェンスでは自分のマークマンを守るのはもちろんのこと、状況を判断してカバーに入る視野の広さを持つ。さらにリバウンドでは的確なポジショニング、徹底したボックスアウトで、夏以降はスターターの座を獲得した。

　2年生になった今、「1年生の頃は結構先輩にずっと頼りっぱなしだったんですけど、2年生になって後輩が入ってきたので、そこは自分がもっとしっかりして、練習やゲームでちょっとでも先輩を押し上げられるように意識しながら練習をしています」と前を向く。

「1年生だったときに、先輩を気にしすぎて自分の思うようなプレーができなくて、コミュニケーションレスになることもあありました。しかし、新チームになったときに、先輩が優しくていろいろやりやすいのはあるのですけど、自分でも意識しながら自分のプレーもしつつ相手のプレーも理解して、それもしっかりコミュニケーションを取れるようにしています」

　これまではゴール下を主戦場としてきたが、将来を見越して外角シュートやアウトサイドの守りも練習中。ドライブにも挑戦しており、プレーの幅を広げようと意欲を見せる。

　そんな深津は選手としてどんな未来像をイメージしているのだろうか。

「相手にとって守りづらい選手――、例えば、身長のミスマッチができたなら、中で攻めるし、スピードのミスマッチがあるんだったらドライブや外周りのシュート。相手にとって嫌な選手になりたいなと思っています」

　今年の目標は「必ず日本一になること」と深津は明確に設定する。「その中で自分もプレーの幅を広げつつ、ずっと頼りっぱなしになるんじゃなくて、自分が一人の選手としてできることを精いっぱいして、優勝に貢献できたらいいなって思ってます」。

　次代のエースがどのように進化を遂げるか。ぜひの深津の名前を覚えておいてほしい。

深津唯生（ふかつ・ゆな）
179センチ／PF／四日市メリノール学院中学校（三重県）
[写真]＝伊藤大允