2023.07.25

今後につながる課題と収穫…北の大地で持てる力を披露した沖縄県代表の西原

29得点5リバウンドと気を吐いた西原の島村[写真]=伊藤大允
フリーライター

 7月25日に開幕した「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」は、47都道府県の中で最北端に位置する北海道で開催。バスケット競技は北海きたえーるをメイン会場に、札幌市内の3会場で行われ、初日から熱戦が繰り広げられた。

 北海きたえーるの第2試合に登場したのは北海道とは逆に最南端の沖縄県から出場した県立西原高校。試合は、出だしに鵠沼高校(神奈川県)に先行を許すと、第1クォーターを終えて11点のビハインドを負う。だが、第2クォーターで盛り返してからは接戦に。その後も幾度となく相手に引き離されそうな時間帯に粘りを見せたが、最後は試合終盤に連続得点を許して万事休す。72ー80で惜敗した。

「相手の外回りの選手たちがスピードに乗る前にピックアップないといけなかったのですが、それができませんでした」と、試合を振り返ったのは西原の金城末美コーチ。また、1年生2人がインサイドを担っているため、「うちのチームの中では大きいのですが、まだ下級生なので足がない。彼女たちがもう少し守れるようになったら、3年生の島村(曜莉)たちが得点力はあるので、勝負できるのかなと思います」とも語った。

西原はエントリーの1年生6人全員が全国のコートに立った[写真]=伊藤大允

 一方、この試合で29得点で期待に応えたキャプテンの島村は、「ボールへの執着、ルーズボールやリバンドから相手にセカンドチャンスを与え過ぎてしまいました。相手はリングに向かう姿勢がどの選手にもあったのですが、うちは最後は受け身になってしまいました」と、敗因を語った。

 なお西原は、那覇から札幌への直行便がLCC(格安航空会社/ローコストキャリア)で便数も限られているため、今回は他の空港を経由して札幌入りをした。ほぼ約1日をかけた移動で、さらに普段は電車に乗ることがないため、「移動だけで疲れました」と、島村は言う。それでも、「(開催地が)北海道ということで(県予選の頃から)絶対に勝とうと言っていたし、みんな楽しみにしていました。涼しくていい気候、体調も良い状態で試合に臨むことができました」と、笑顔も見せた。

 夜は気温がグッと下がる札幌。その寒さについて金城コーチはこのように表現してくれた。

「沖縄は12月でも暑いときがあるので、夜だけを考えると、感覚的には沖縄の12月ぐらいの気候かもしれないですね。ただ、涼しくてバスケットがしやすい環境でした」

 価値ある全国での1試合を戦った西原。「沖縄の選手の(特長である)個人スキル、外回りの選手たちのドライブは負けていないと思うので、そこは評価できると思っています。あとはディフェンスのアグレッシブさがもう少し身につけば、もう一つ上(のレベルに)に上がれるかなとは思っています」と、金城コーチは先を見据える。さらにキャプテンの島村も、「個人としては前半は良かったのですが、後半に相手が対応してきたときに臨機応変にプレーできませんでした。そういったことやフィニッシュのスキルをもう少し身につけていきたいです」と、しっかりとした口調で今後の抱負を語っていた。

取材・文=田島早苗
写真=伊藤大允

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