Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
「やっぱり自分のせいで負けたので……」
絈野夏海(3年)には、悔やんでも悔やみきれない試合がある。
それは、キャプテン兼エースとして臨んだ今夏のインターハイ2回戦。岐阜女子高校(岐阜県)はのちに優勝を果たした京都精華学園高校(京都府)と大熱戦を繰り広げ、勝利まで目前に迫った。1点ビハインドの第4クォーター残り2秒、絈野は相手からファウルを受けて2本のフリースローを獲得。だが、このチャンスで1本の成功に留まり、チームは延長戦の末に力尽きた。
「彼女にとってみればいい経験だと思います。あの子はこれから日本代表で活躍してくれる逸材だと思っていますし、それに相応しい強いメンタリティを持っていますから」
安江コーチの期待に応えるように、8月にはU18日本代表メンバーに選出された。最大の武器は3ポイントシュート。「自分は3ポイントが一番得意」と本人も自信を持っており、躊躇なく放たれるそれは次々とリングを射抜く。3位で終えた『U18日清食品トップリーグ2023』では合計25本の3ポイントを55.6パーセントという驚異の確率で沈め、11月に行われた「第90回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」2次ラウンドでもWリーグのチーム相手に何度も長距離砲を浴びせた。
インターハイ以降は、練習の前後に必ずフリースローを打ち、しっかりと決めきる日々を送っているという。夏に大粒の涙を流した彼女は、もういない。「チームを日本一に導くエースとして、力強くみんなを引っ張っていきたい」。その思いを胸に、高校最後の大舞台に挑む。
文=小沼克年