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2年生以下チームで初の全国出場を果たした比治山女子…桜花学園出身指揮官は思いを新たに

全国大会初出場の比治山女子はベンチも一体となって試合に臨んだ [写真]=田島早苗
フリーライター

 思い切りのいいシュートで前半は28-33と食らいついた。しかし、第3クォーターで相手に大きなリードを許すと、その差が大きく響き、最終的には57-82で敗れた。

 8月4日に福岡県で開幕した「令和6年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。女子の初出場校は4チームだったが、そのうちの一つが広島県代表の比治山女子高校。比治山女子は、1回戦で全国常連校の聖カタリナ学園高校(愛媛県)に挑んだが、冒頭に記したとおり、25点差で敗退し、全国初勝利はお預けとなった。

 中高一貫校の比治山女子は、5年前に中学バスケットボール部の強化を開始。強化から3年目でジュニアウインターカップ出場を果たした。この時の選手たちが現高校2年生の高島彩菜などで、彼女たちが高校に進学したタイミングで高校バスケットボール部の強化も始まった。したがって、部員は1、2年生だけとなる。

13得点を記録した佐古みのり [写真]=田島早苗

 高校としては強化から2年目で見事インターハイ出場となったのだが、「インターハイ予選に関しては、新人戦で負けていた相手チームと対戦できるということで、新人戦のリベンジというほうが大きかったです」と、寺廻唯コーチは言う。それこそ「新人戦以降の取り組みの成果を確認するという大会だったのですが、それがうまくいったという印象です」と、インターハイ出場の経緯を教えてくれた。

 とはいえ、「団体競技として全国大会に出場するのは、学校としては初めてのことだったので、すごく喜んでいただきました。今日(1回戦)も大応援団が来てくれたので、そこは良かったなと思います」と、初の全国大会出場はチームにとっても喜ばしいことだともいう。

「個人的には選手として出た大会に指導者として出させてもらえることに感謝です」と話した寺廻コーチは、実は桜花学園高校(愛知県)出身。女子日本代表の大黒柱である髙田真希(デンソーアイリス)は2学年下の後輩にあたる。
 
 また、前任校で3年、比治山女子で5年と、指導歴は8年目だが、以前には3年ほどスタッフとして桜花学園に携わっていて、その3年間で数度の全国優勝も経験した。ちょうど馬瓜ステファニー(カサデモント サラゴサ/スペイン)や山本麻衣(トヨタ自動車アンテロープス)などが高校生の時だ。

「テッペンの景色を見させてもらったので、今の自分たちの景色とのギャップを知ることはできています。そのギャップを一つずつ埋めていく作業だと思っていて、例えばトップチームのインターハイ現地での過ごし方などは選手に伝えることができると思っています」と、桜花学園での経験は指導者となった今も活かされているそうだ。

 チームは、「シンプルに激しくディフェンスをして、速く攻める」スタイル。「プレーの精度やディフェンスを見て判断する力など、そういったことを今回は課題としてもらえたので、それをウインターカップ予選に向けて持ち込めれば。できればウインターカップも出場して、その上で来年、3年目を迎えたいなと思います」と、指揮官は先を見据えた。

「この舞台に立たせて終わりではなくて、ここで力を発揮させるという難しさを感じたので、次は持てる力を発揮できるようにしたいです」と、指揮官は思いを新たにした。

 キャプテンの高島も「全員で『楽しんでやろう』と始まる前からずっと話をしていたので、それは40分間やり通せたかなと思います。まずはウインターカップに出場して全国大会という舞台で勝ちたいと思います」と、力を込めた。

 新たなチームの歴史を作った比治山女子。今度は「インターハイとはまた違った空気を感じてほしい」(寺廻コーチ)というウインターカップでの初出場を目指す。

「シュートの決定力を上げていかないといけない」と個人の課題を語った高島 [写真]=田島早苗

文=田島早苗

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