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東海大福岡が2年ぶりのインハイ4強…“ファンタジスタ”根間芙奈は冬の金メダルへ飛躍誓う

東海大福岡のベスト4進出に貢献した根間芙奈 [写真]=佐々木啓次
フリーライター

 沖縄が生んだファンタジスタ――。東海大学付属福岡高校(福岡県)の根間芙奈(2年)は、そんな言葉が似合う選手だ。

 身長は155センチ。全国のコートに立てば一際小柄に見える彼女だが、緩急自在のドリブルとテクニックでディフェンスを掻き回し、リングにも恐れずアタックしてシュートをねじ込む。

 先発ポイントガードとして臨んだ「令和6年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」は、岐阜女子高校(岐阜県)に1点差で敗れ準決勝で敗退した。しかし、この試合の第3クォーターにはフローター気味に放った3ポイントシュートがブザービーターとなり、男子顔負けのハンドリングでも相手を翻弄。3本の3ポイントを含む12得点を挙げただけでなく、果敢にゴール下に飛び込んで10リバウンドをマーク。残り1分9秒には無念のファウルアウトとなってしまったが、観客は根間のプレーに酔いしれた。

「自分はスピードが武器なので、ディフェンスを横に揺さぶってから縦に抜くプレーが得意です」。そう話す根間が身長のハンデを補うテクニックを身に付けられたのには、父の存在が大きい。

「お父さんが小学校のコーチをしていているんですけど、休みの日でも練習に付き合ってくれました。スキルに関しては小学校のころからお父さんと一緒に練習してきたことが今につながっていると思います」

豊なスピードを生かしたプレーが得意だ [写真]=佐々木啓次


 では、沖縄出身の彼女がなぜ東海大福岡への入学を決心したのか。根間は言う。「小学校のときのカップ戦に宮﨑(優介)先生が見に来てくださったんです。そのころから東海大福岡でプレーすることを意識し始めていましたし、先生のもとでバスケットがしたいと思って東海大福岡に決めました」。

 根間が小学生のころから気にかけていた宮﨑コーチは、「インターハイ期間中にも成長してくれた」と、強いリーダーシップでもチームを引っ張った司令塔を評価。指揮官は「県大会前はセカンドチームでした」とも明かし、そこから全国でも躍動した根間についてこう続けた。

「彼女はチームがやりたいバスケットを理解した上でのゲームコントロールができるようになりました。私としては周りをコントロールしながら自分でも得点を取れる選手を探していたんですけど、現時点では根間が一番フィットすると判断して先発で起用しました」

 宮﨑コーチが「うちはガード陣が多い」と言うように、昨年の東海大福岡には境さくら(現・名古屋学院大学1年)、伊良部由明(現・園田学園女子大学1年)という2ガードがチームの中心を担った。その背中を見てきた根間は、これからは2人のようにもっと強いリーダーシップを発揮していきたいと意欲を示す。

「2人のプレーをずっとコートで見てきたので、今年はさくらさんと由明さんみたいにチームを引っ張ることを意識していました。2人はプレーだけじゃなくて声でも引っ張ってくれていたので、そういう部分は自分も真似していきたいと思います」

 今大会の東海大福岡は、下級生主体ながら2年ぶりのインターハイベスト4に入った。2年生の根間にとっては、2023年のウインターカップに続いての銅メダルだ。昨冬とは異なり、この夏は中心選手としてベスト4進出に貢献したが、「やっぱり金がいいです……」と悔しさを噛みしめた。

「いらないターンオーバーを減らして、もっと周りを生かすことができるガードになりたいです。自分がドライブで仕掛けた時にシュートを打つのか、それともパスをするのかという状況判断をもっと磨いていけるように練習から意識して取り組んでいきたいです」

 東海大福岡のファンタジスタはさらなるレベルアップを誓った。インターハイで得た自信と課題を無駄にせず、次こそは最も輝くメダルをつかみにいく。

文=小沼克年

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