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156センチと決して大きくはないが、ベンチでは大きなアクションや声を掛けなどで選手の士気を鼓舞する。エネルギッシュな動きで女子の横浜ビー・コルセアーズU15(女子/神奈川県)を率いるのが飯田都季ヘッドコーチだ。
同チームは1月5日、「京王 Jr.ウインターカップ2023-24 2023年度 第4回全国U15バスケットボール選手権大会」の初戦(2回戦)を迎え、秋田県代表のRCSクラブと対戦した。
試合は、前半を終えて8点のリードを奪う展開に。第3クォーターこそ点差を詰められたものの、第4クォーターでは再びRCSクラブを突き離して58ー45で勝利した。
「神奈川県内の試合が一番硬く、県の決勝(対相模女子大学中学部)でやっとみんな吹っ切れたというか。大舞台でやることの覚悟や楽しさをどう表現するかが徐々に分かってきたところでした。(今日の試合も)まだ硬さはありましたが、神奈川県内のあの雰囲気に比べると、成長していることを感じた初戦でした」と、大事な大会の入りについて飯田HCはこのように語った。
チームを見て6年目となる飯田HCは、名門の神奈川県立金沢総合高校出身。高校時代は一学年上の篠崎澪(東京オリンピック3x3女子日本代表/元富士通レッドウェーブ)や一学年下の宮澤夕貴(東京オリンピック女子日本代表/富士通)らとともに日本一を目指して汗を流した。高校卒業後は東京学芸大学に進み、教員になる夢を大きくするが、バスケットを続けたいという思いで大学卒業後は山梨クィーンビーズに入団。また、山梨QB退団後はTOTO(関東実業団)でもプレーしたが、山梨QBとTOTOの在籍時には二足のわらじで教員として教職にも従事している。
その後、「中学時代からの師匠」という横浜ビー・コルセアーズU15のアカデミーディレクターの白澤卓氏からの話も受け、「頑張っている選手たちに対して、コーチ側で全力を注ぎたい」とU15女子チームのコーチ就任の決意をした。
「男子のU15のコーチや白澤ディレクターとは練習の共有など情報交換や相談をよくしています。参考にすることも多いし、アドバイスもたくさんもらっています」という飯田HC。横浜ビー・コルセアーズのアカデミーは『世界に通用する選手』の育成を掲げているが、飯田HCもまた、「(卒団生の)女子日本代表の朝比奈あずさ選手(筑波大学)を筆頭に、みんなそこを目指して頑張ろうという気持ちを持っています。私自身もそういうチームでありたいと思っていますし、そういった選手を育てることが一番だと思っています」と、言う。
「いい選手が集まってくれて、私は運良く全国に行かせてもらっていますが、そこには神奈川県の先生たちや保護者の方たちの尽力があるというのは絶対。その感謝の思いは日々忘れてはいけないと思っています」と、感謝の言葉を発する飯田HC。指導者になった今、高校時代の恩師である星澤純一氏の存在も大きいようで、日本一の経験やアンダーカテゴリーの女子日本代表を歴任した名将の言葉について「コーチになった今、身に染みてわかることが多いですね。言葉の重みなどを知ることができたので、コーチになってよかったなとも思います」と、笑顔を見せる。また、「星澤先生は結果を見てくださっていると思うので、先生には結果で届けたいと思っています」と、熱い思いも語ってくれた。
横浜ビー・コルセアーズU15は1月6日に3回戦へ臨む。「この大会は初出場。目の前の試合を戦いながら全力で楽しもうと選手たちには言っています。楽しむとは、高いレベルでの勝ち負けの駆け引きや、相手に対して『この選手すごいな』と思いながら戦い、楽しむことだと思っています」と、飯田HC。
ユニホームからスーツへと戦闘服は変わったが、指揮官も選手と同じく、全国の舞台を全力で楽しむ構えだ。
文=田島早苗